太極拳経験者から、教えてーと請われた時は、その人の現状とか、伸び悩んでいる部分を判断して、既に他からも言われているであろう耳タコのダイレクト指摘はせずに、斜め上の新しい情報を脳みそに流し込み、これまでになかった体感に気づかせパラダイムシフトを起こさせ、劇的に上達させる、ということを理想として、指導することにしています。
パラダイムシフトを受けて脳みそが書き換えられた人の目はキラキラ輝き、とっても嬉しそう。私も嬉しい!
が、しかし!
パラダイムシフトが起きない人はいます。
端的に言うと、素直じゃない人です。
これまでの思い込みとか、浅い考えとか、どっかで聞いたか読んだかしたノウハウにとらわれて、私の指導をそのまま受け取れないというか、拒絶する人です。
本人に拒絶しているつもりはないのでしょうが、「でも」「だって」という口答えが多くて、今まさに自分の目で見て、自分自身が体感しているのにもかかわらず、「こんなはずはない」と信用できない人です。
受け入れがたい現実にフリーズして、左脳で考え込んでしまう人です。
たとえば、「両足で踏ん張るより、片足でまっすぐ立ってる方が強いですよ」と伝えても、信じられず受け入れがたいようなのです。
片足立ちの私に、両足で踏ん張って押そうとしてすっころがされても、頭の中で垂直軸と水平軸を引いた図面を思い浮かべて、斜め線やら双曲線を入れたり、ベクトルがどうとか、ヘクトパスカルがどうとか、サインコサインタンジェントでニュートンはアルキメデスと、物理の法則に照らし合わせてるんでしょう。
もしくは、気が、勁が、キョレイチョウケイがチュウテイでハムストリングス!と、パニックになっているのかも。
考えるな、感じるんだ! と思わず言ってしまいます。ブルースリーの気分が、ちょっとわかってきました。
何百回でも飛ばされているうちに、わかってきますよ、というんですけど、この手の人はなかなか時間がかかると思いますねー。自分の体感さえ信じないんですから。
それにくらべたら、何にも考えてなさそうなおばあちゃんの方が、よっぽど上達しています。
「え、そんなん初めてきいたわあー、わあ、ほんまやあ!」と素直なのです。物覚えは悪いですが、確実に体感として、体に浸み込んで、どんどん太極拳が上手になっています。
「初めてとちゃうでー。こないだも言うたやーん」と笑いながらも、教え甲斐があるってもんですよ。
素直じゃない人は「これは前に聞いた、鉄の軸を通すということですね!」と、新旧の情報を統合させようとしたりするのですが、私にすれば「鉄の軸って何や?? そんなん知らんぞ??」というかんじ。
自分の思い込みで、勝手に間違った新情報を作って、それを信じてしまうみたいなんです。
というわけで、上達スピードには、素直さが大変な影響を及ぼす、というお話でした。
(上達に導く指導者から教わっている前提での話ですが)
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