表演の意味

「ねんりんピック」(全国健康福祉祭)とは、お年寄り向けの国体みたいなもので、太極拳も参加種目です。参加者は60歳以上ということです。

安田先生は60歳にはなられていませんが、招聘されたそうで特別演武を披露されていました。私は愛媛県の会場には行ってませんが、あとでフェイスブックで拝見いたしました。

ちょうどマイブームでもある鞭杵(短棍)の套路の表演動画でして、おおっ、これはっ! とじっくり何度も見させてもらいました。

カメラアングルが良くて、わかりやすい!

いつもの指導してもらっている時は、生徒がついて来れるように、正しい形が理解できるように、ゆっくり分解動作で見本を見せてもらっていますけど、表演となると動きが違いますね。流れに勢いがあるし、メリハリもはっきりして、なにより迫力が違います。カッコいい!

服も、カンフー!ってかんじでカッコ良かったです。(日頃、指導いただくときは、Tシャツとジーパンとか…)

妻は動画を見て、わー叩かれたら痛そう! とビビっておりました。(痛いだけでは済まないと思いますが…)

痛そう!という印象はさておき、勢いのある動きを見て気づくこともあります。

習った形からの変化みたいな動きも見れて、おおっ、そういう意味だったのか! と閃きます。

うーむなるほど、私の固定観念は違ってたなーと脳内情報が上書きされまして、私の練習も変化しました。

これまでは形をなぞる練習でしたが、もう、棒もったら戦えまっせ!

ところで、今回の安田先生の特別演武を見せていただいて「表演」に対する概念が、ちょっと変わりました。

先生のは、表演のために練習してきたものじゃないと思うのです。

今回のために、持ち時間や音楽に合わせるとかの練習はされたでしょうが、そもそもは、武術の技を実際に用いるときの勢いでやったら、こんなかんじになりますよ、というデモンストレーションですね。自衛隊の展示訓練みたいなもんだ。

表演はあくまでもデモンストレーションに過ぎないのであって、目指すべき完成形ではないはずです。

そこは競技選手との決定的な違いだと思います。

教室で習っている時も、休憩時間とかに時々、先生がきまぐれに誰に見せるということもなく、ちょっとした動作をされることがあります。

試すようなササッとした動作で軽い感じなんですが、指導のための動作より、なんか迫力あって見た感じも実戦的なんです。ズバッ、ドシン!とかやってて、うわっ、凶悪! ってかんじします。

私が目指している太極拳も、そういうものです。

自衛隊の目的は国防であって、たまにやる展示は活動を国民に知らしめ親しんでもらうためのものであるように、太極拳の目的は護身と養生であって、たまにやる表演は裾野を広げるためとか人前で披露する喜びを味わうためで良いと思います。

展示が目的になったら、なんか変だ。

体を使って表現する芸術活動だと割り切ればいいですけど、私にとっては太極拳は武術ですので…。

ですので、自分のすべてを、この演技に出し切る! 我が人生の集大成! というのが表演ではないですね。

長年学んで練りに練って習得してきた膨大な体術、技術、功夫のほんの一部を、ちょっとだけ見せてもいいよ、という気持ちで、来年出場予定の大会には臨みたいと思います。

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