陳式太極拳と楊式太極拳の違い

私が楊式太極拳を始めたのは、ここ3年くらいです。

妻が通っていた24式と楊式の太極拳教室でやってる子供向けカンフー教室に、3才になった娘が習いに行くようになり、私が子供を送り迎えしていたんですけど、見ているだけではヒマなので、私も、おじいちゃんおばあちゃんたちに混じって楊式太極拳を習いだしたのでした。

一緒にやってみると、どうしても、昔に習った陳式の動きになってしまって、楊式の風格はそうじゃないとか言われまして、あわせるのになかなか難儀しました。

そのころは、楊式太極拳って、震脚も発勁もないし、手足をそんなに捻るなと言われるし、なんだかフヌケた太極拳だなあ、と思ったりしておりました。

まあ、実際のところ、こちらの教室は、套路の順番を覚えれば満足という感じの老人向けカルチャーセンターといった趣でありまして、私の方も、老架の陳式太極拳を一人練習をしていたとはいっても、ながらく指導も受けておらず、少林寺拳法と混じったような、へんちくりんな我流になっており、教室の楊式太極拳とは、とっても隔たりがあったのです。

楊式らしさ・陳式らしさ?

それでもだんだん昔やっていた太極拳への情熱が蘇ってまいりまして、推手も習い始め、近所にあった新架式の陳式太極拳の教室にも通いだし、楊式も陳式も、いろいろな先生に学ぶようになりました。

で、最近、とうとう一番最初に学んだ老架式の陳式太極拳を、かつて学んだ先生より、再び学ぶようになったのであります。

ずいぶんあやふやになっている、ということで基本の基からです。2時間の練習で、足腰がパンパンになるほど、今まで、なんとなくやっていたことや、誤解していたところを、ひとつひとつ修正していただきました。

誤解していたところはたくさんあってショックでした。ひとつ例をあげますと、陳式太極拳の看板技の一つ、掩手肱拳です。一般的イメージの太極拳とは違うスピーディーなパンチですね。

私は今までずーっと、横拳にして、斜め右側に突き出していたのですが、本当は違っていて、楊式太極拳の搬欄捶と同様、進行方向に向かって縦拳で打つのが本当だということでした。

肘を下に向けて、纏絲勁を効かせていると、腕が伸びた時に自然と、拳は斜めになって、横拳っぽくなる、ってことでした。(真横にはならないです)

楊式太極拳と、ぜんぜん違う動きになっていたら、それは、陳式太極拳としても、おかしい。楊式は、陳式太極拳からでて発展していったものなのだから、楊式でおかしな動きなら、陳式でもおかしい。

そもそも、楊式らしいとか陳式らしいなんて、ない。太極拳らしいかどうかがあるのみ。というお話になりまして、これはどういうことかといいますと、文化大革命の前は、楊式も陳式もその他の流派も、そんなに明確な区別がなかったそうなのです。

太極拳名人が一同集まっても、誰が何式とは、よくわからなかったとか。

それが、中国共産党の政策により、武術の体育・スポーツ化が進められ、制定拳が作られたとき、それぞれの流派のうちから、名人を一人選んで、その人の表演スタイルをモデルにして、楊式はだれそれ先生の套路、陳式はだれそれ先生の、と決まっていったそうなのです。

実はそれは無理やりな話で、体格や、性格によって、動きも違っている方が当然。今でも、陳式太極拳の四天王と言われる4人の先生にしても、同じ村にいながら、みんな違っていて、伝統拳とは、そういうもんだ、ということでした。

似たような話は、先日、歩法を中国人の先生から教えてもらっているときにも聞いたところです。

太極拳らしい太極拳

太極拳らしさとはなにかといえば、太極拳の要諦に沿った動きをしているものでありましょう。太極拳論とか、太極拳釈名といった、古い文献に書いてある、基本的なものです。

ただゆっくりと、力を抜いて、套路の順番通り手足を動かしていれば太極拳、というわけではないのです。時々、フンハー!と、速く突いたり床を踏みつければ陳式、ゆっくりな動きだけなのが楊式、体を斜めにしたら呉式というようなものでもないですね。

手足も体も全体がつながって動いてないといけないし、陰陽とか虚実とか、いろいろありますが、そういうのを知らず、形だけ真似しているのは、太極拳風体操であって、体操をするなら、ラジオ体操のほうが左右対称だし効果的、みたいな話を、これはまた別の先生からも聞きました。

勁の使い方だとか、それぞれの流派には特徴があって、最初からいろいろ混ぜて学ぶのは混乱の元ですが、私はもうやってしまってますし、まずは、太極拳らしくということを心がけて、修行してまいりたいと思います。

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