以前の記事で、少林寺拳法と太極拳では、技というか動作につけている名前が違うと書きました。
少林寺拳法の場合、流水蹴とか燕返といった、イメージ的な名称も少しはありますが、たいていは、 金的蹴膝受波返とか、段蹴三防受段蹴返とか諸手送小手投とか袖巻天秤とか、何をされたら何をする、という動作、というか行為そのものを、ずばり表しています。
太極拳の場合は、白鵝亮翅とか高探馬とか抱頭推山とか手揮琵琶とか、ビジュアルイメージといいますか、比喩的といいますか、ファンタジー的表現が多いです。(倒巻肱とか双推手など、動作を表している名称も、ないことはないです)
これは、技や動きそのものに対する考え方のアプローチがちがうのだなあと、私なりに結論づけました次第です。
目次
太極拳の動作名称は、学びのヒントになる
先日、先生から教えていただきましたのは、太極拳の動作についている名前は、学ぶときのヒントになるのだよ、ということでした。
先生というのは、最近、二十数年ぶりに再び教えてもらい始めた、陳家溝で長年修行された先生です。(日本人です)
昔々の、太極拳ができた時代は、武術を志す一般の民衆に学がある人は少なく、小難しいことを言ってもわからないので、イメージしやすい名前をつけたんだろうという話です。
当時、馴染みのあった動物とか、風水など道教の民間思想が反映されているのですね。
例えば、野馬分鬣(ほんとは鬣という字ではないですが)は、野生の馬のタテガミが、風になびいたり、雨に濡れてわけられるイメージ。風や水のように、ふわっと動くと考えるべし、ということです。(馬を押さえつけてタテガミを撫でる動き、というのは、誤解。)
陳式太極拳にある玉女穿梭は、多くの人は、たくましく勇ましく、ピヨーンと飛んでいくような動きをするが、名前の意味からすると、美しい女性が行き交う、もしくは機織りをしているというイメージなので、優しくふんわりと動くのが正解、というお話でありました。(美女とすれ違って、振り向く、とも。)
ハッと、目を覚まされるようなお話であります。
動作名称を覚えるときは、意味も考えましょう
私は、長らく、動作名称を覚える気がなくて、こういった話を、ちーとも知らずに、套路をやっていたのです。この動きの次は、これ、というふうに、動作の順番で覚えておりました。
沢山の生徒がいる教室の先生は、「らんちゅうーうぇい」とか「たんびえん」とか言いながら指導されてますが、私は、他の人の動きを見て、ああ、次はこれね、みたいな感じで、同じ動きをしておりました。
そういえば、私が初めて太極拳を学んだ平成のはじめ頃は、漢字を日本語で音読みしていたように思うのですが、長いブランクの間に、中国語の読みそのもので呼ぶようになっておりましたね。
これだと、余計に意味がわからなくなるような気がします。
しかも、日本人で中国語をよく知らない先生だと、四声などの発音も、あやふやだし。
まあ、野球なら、アウト、セーフ、ヒット、ホームランなど、テニスなら、サーブ、ボレー、スマッシュなどと英語で言いますし、バレエもアンデュトロワとか、レヴェランスとかフランス語をカタカナで話すわけで、専門用語だと考えればいいのでしょう。
私も心を入れ替え、名前から、しっかり意味を学んでまいりたいと思います。
幸いなことに中国語は、漢字を使っているわけですから、フランス語やイタリア語の丸暗記より、理解しやすいのではないかという気もします。
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