太極拳の推手って、面白いなあと思うのです。
大学で少林寺拳法をしている時、乱捕って、あんまり好きでもなかったです。力任せにぶん殴ったり蹴ったりするばかりで、根性ばかりが尊重され、怖がったらダメ、みたいな。
目をつぶるな、声出せー! 動きを止めるな! ってかんじで、1分でヘロヘロ。3分もやったら吐きそうになってました。
血気盛んでアホな学生がやることなのでしょうがないですが、ハイレベルな攻防はなかったです。野蛮人が強い!みたいなかんじ。鼻血ブーとか、ふつう。
防具と気合が必要なので、ちょっと気軽に練習もできませんでしたね。
私が好きな柔法(関節技)は、上手な先輩はあまりおられず、クラブの中では私が一番うまかったかな。
地味だし、柔法の試合なんかなかったし、みなさん、あんまり喜んでは練習してなかったです。
監督の道院に行けば、ハイレベルなことも学べましたけど、大学クラブでは、走ったり飛んだり腕立て伏せしたりばっかり。
私が幹部になった時は、柔法の指導も増やしましたが、後輩どもは体が楽なので喜んでましたが、同輩たちは、なまっちょろい練習してからに!という目で見ておりました。なんせ、体力を消耗する練習が重んじられていたのが、大学体育会武道系だったのであります。
私が柔法が上手だったのは、高校生の時の相方が、プロレスマニアで、サブミッションの練習に散々付き合わされたからです。アキレス腱固めとか、そんなん少林寺拳法に無い!っちゅう練習もずいぶんやってました。(虎固めという、足を取る技はありますが)
先日、安田先生の講習会の休み時間に、体育館の端っこでアキレス腱固めの練習している人がおられたので、高校生の頃を思い出しました。イノキ、ボンバイエ!
ちと、話がそれましたけど、太極推手は、防具も気合もいらないし、血も見ないし(普通は)、一時間連続しても疲れないし、やればやるほど練度の上がり具合も感じられるし、バリエーションは豊かで、無限の変化があり、日頃練習している套路の意味が分かり、套路の質も高まり、興味は尽きず、やるほどにどんどんハマっていきます。
初心者からベテランまで、レベルに応じた練習ができます。
私の知る中で最高峰は、安田先生とかN先生とか、次に異流派推手交流会に来られる猛者たちですが、みんなそれぞれ雰囲気が違い、同じような感じの人はいません。バリエーション豊かです。
全くの初心者ともよくお手合わせします。妙齢女性が多いですが、すぐ上達するので面白がられます。ゲームを覚えるみたいな感じですね。
同年代男性だと、武術的なテイストを入れて、打ったり蹴ったりも混ぜていきますが、大学生の乱捕みたいに、痛くはしないです。防具はつけません。ゆっくり軽く当てるだけですが、太極拳に対する感覚が変わっていきます。
微細な勁のやり取りを好む人には、そのように合わせますし、激しく動きたい人にはそのように合わせますし、十人十色に合わせて、私の方もキャパシティが広がります。
私が先生をやっている、自治会の公園教室では、陳式推手の基本からじっくりやって、ゲーム的要素は入れてません。完全に套路の補助練習です。それでも、できるようになると面白いので、生徒の皆様、喜んで取り組んでいます。
推手って、実に様々な取り組み方、練習方法があります。ゲーム的勝敗にこだわりすぎると、競技っぽくなって宜しくないと思いますが、楽しくやるぶんにはよいですね。
套路にピタッと合う感覚を目指せば、これは達人への道です。私はそっちが好きかなあ。
うちの生徒さん、達人を目指しているわけではありませんが、私のこだわりに合わせてもらっております。陳式推手って、なかなか練習できるところはないですから、私にとっても貴重な場です。
何も知らずに練習しているオバサマ方、他所に出た時に、自分のハイレベルさに気づいたら、面白いだろうなーと、企んでおるのです。まあ、まだまだですけど。
コメント