太極拳の歩行練習

太極拳

週に5回通っている教室のうちの1つで、太極拳の歩き方を学びました。

当日の生徒は4人。そして、その4人が学んだのは、それぞれ別々、バラバラの歩き方だったのです。

目次

団体練習と個人指導

こんなの、何十人も生徒がいるような教室では、ありえない話ですね。先生が、前に立って「こうやって歩くんだ」と説明して、全員がその真似をするというのが、一般的なレッスンでしょう。

この教室の先生は、年は若いけれど、太極拳のいくつかの流派の正当伝承者の先生です。太極拳の達人です。そして、指導も達人です。日本語がペラペラなので、言われないとわからないですけど、中国の人です。

生徒一人ひとりの、体つきや、今までの修行歴、生活習慣による癖などによる特性を見て、こういうやり方がふさわしいと教えてくれました。

ある人には、歩くときは視線を上下に動かし、前方にキックするように脚を出すのが良いと指導されるし、ある人には、脚を踏ん張らず、尾てい骨を前後に移動させるように動くのがいいというし、私には、左右に、纏絲を意識しながら脚を振り出すように、同時に目線も左右に振りながら歩を進めるのが良いと教えてくれました。

私は、今まで他の教室で教えてもらっていた歩きかたに、違和感があることもあったのですが、それは自分の修行不足だと思っておりました。

しかし、こちらの先生の教えに従うと、実にしっくり来るのです。ああー! これでよかったんだ! という感動があります。

違う流派の歩き方を学ぶのことの良し悪し

左右に振り出すというのは、わりと陳式太極拳っぽい歩き方なのですが、古い楊式太極拳もそうだったとのお話。

最近学びだした24式や楊式太極拳の歩法より、若かりし頃学んだ陳式太極拳のほうが、私には合ってる気がします。さらに前に学んでいた少林寺拳法の歩法も、わりとこんなかんじで左右に振ってましたし。

先生には、今は陳式と楊式が、どうも私の体の中でケンカしているかんじ、と指摘されました。

しかし、どちらか一つを選べというわけではなくて、経験してきたものをうまく融合させれば、私だけの、いい太極拳になる、とも言っていただきました。

表演の大会に出るなら、規定外の動きは減点ですが、そうでなければ、それもまたよし、という話で、私も、大会で点数を競いたいわけでなし、武術を学びたいというのが一番の動機なので、その路線で行こうと思ったのでありました。

伝統拳と制定拳

そもそも伝統拳というのは、そんなもんだそうです。

制定拳は、審査員が採点できるように細かいところまでみんな同じ条件でやらないといけませんが、本来の武術は、個人個人が最も体の性能を発揮できるように練っていくものです。身長や体重が違うように体の作りも個人差がありますから、太極拳の形もひとりひとり違っていて当然。

太極拳の要諦にあっていればよいのですね。

それに、人間は進化し続けるものですから、形も変化もしていくもので、何も変わらないというのは、進歩しないということでもありますね。

といっても、キチンと練られてなければ、中途半端なごちゃ混ぜで、役立たずな歩法になりかねないような気もしますので、しっかりと練習していきたいと思います。

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