陳家溝の陳式刀を再現するプロジェクトを、細々と進めているのです。
アドバイザーは安田先生です。
本来の陳式刀は、表演で使われているアルミやジュラルミンの柳葉刀とは形が違っていて、日本刀のような形だけれども、柄が逆ぞりになっているということです。
馬上で使いやすい形状なのではなかろうかと、安田先生は推測されておられました。
本物は鋳物だそうですが、それだと銃刀法違反になりますので、木刀で再現です。
今の陳家溝では柳葉刀が使われていて、もとの陳式刀は、もうない、というのは、大躍進運動とか文化大革命のドサクサで、失われてしまったのだとか。
そういう意味で、再現です。
陳式刀は、鞘に入っている写真を見ただけなので、実際のところ、よくわかりません。
作って使ってみて、振りやすい形が正解であろうということにして、いろいろ試作しております。
すでに4本作りました。
琵琶、桜、トネリコ、金木犀(きんもくせい)と、素材はバラバラ。たまたま手に入った木材を使っています。
最初は、鉈(なた)と紙鑢(やすり)で削っていましたが、鉋(かんな)をゲットしまして、作業効率が上がりました。
もとから逆反りの形状に近い材木を使っておりますが、皮とか節とかありまして、思惑通りには、なかなか削れません。
それでも、削っているうちに、なんとなく、いいような形になるものです。
4本目で、だいぶいいかんじになってきました。刀の根本と、先端では、かなり厚みに差を付けました。重心は、かなり柄よりです。
柄の反り具合は、あまり極端にならないように、ストレートに近づいてきました。
これまで練習(陳式単刀と双刀)には、剣道用の中刀の、柄を2センチほどカットしたものを使っておりました。これも、わりとバランスがいいのですが、それでも振っていると、外側にとっちらかるような感じがします。
本来、引いて切るように作られている日本刀を、押して切るように使うのは、無理があるのでは?と、これは私の奥さんの意見。
これが、逆反りの柄の陳式刀だと、まとまりが良いのです。これも私の奥さんの意見。
私の感覚では、突く動作(扎)が、剣道用では横に流れてしまうんですが、逆反りの陳式刀では、まっすぐ突き刺さる感じがします。
日本の剣術には「扎」はないですものね。
刀の形状と使用法には、大きな関わりがあるのだなあと気づきました。
陳式刀の練習には、陳式刀を使うのが良いです。これには確信を持てました。
鍛練用の、先端の方が重い木刀も持っていますが、あれは手首の鍛練にはなっても、勁を養う訓練にはなりがたいですね。
力を入れずとも、クルクルスパスパと思いどおりにコントロールできる重量バランスの良い刀が良いです。
安田先生は、宮本武蔵チョイスの殿様献上用の刀を振ったことがあるそうです。
あまりのバランスのよさに驚愕して、これは何?と聞いたら、宮本武蔵の…と答え合わせをしてもらったそうです。
さすがの剣豪。
陳式双刀も二天一流を参考にしているそうですし、やはり、宮本武蔵はエライ!
そういう観点からみると、表演用のアルミとかジュラルミン刀は、練習用には使えませんね。シャキーンと音が鳴って気分は良いですが、鍛練にはなりません。軽すぎるしバランスも悪いです。
もっと最悪なのがメイドインチャイナの木刀です。発力したら折れます。2本も破壊して、無駄遣いしてしまいました。
というわけで、満足できる刀は、自分で作るしかない!ってことですね。
最新作の金木犀製陳式刀は、バランスの点で、これまでのベストですが、ちと、重みが足りない感じがしています。金木犀は比重が軽かったようです。
理想の木刀を求めて、さらに研鑽を重ねる所存であります。
写真は、上から剣道用の中刀。琵琶、桜、トネリコ、金木犀の陳式刀です。その下は、自作の剣。白樫と、桐です。
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