推手道場の先輩から「震脚を教えて!」と請われたのです。
喜んでお伝えさせていただきたいのですが、「ドーンと鳴って、天井の天窓がビリビリと震えるように」というのがご要望です。
漫画の読み過ぎだと思います。
先輩が震脚のつもりでやっているのは、体を捻じ曲げて、手を振りかぶり、足を思い切り引き上げ、目一杯体重を載せて踏み降ろし、ついでに頭もヘッドバッドみたいに振り下ろすというものでした。
震脚じゃなくて、地団駄というかんじです。
「…それでは、立身中正・虚霊頂勁・円襠開胯とかの太極拳の要諦が、すべてなくなってしまってます…」
私も、完全な震脚ができているわけではありませんが、ぜんぜんできてへん、まったく違うということを、遠回しにやんわりと示させていただきました。
瞬間的に勁を整える技術が震脚だと思っておりますので、手足ばらばらに力を散らかすようなのは、だめですね。
それに、床がドーンと鳴って、天窓がビリビリ震えても、武術的にたいした意味はないと思うのです。威嚇して敵の戦闘意欲をなくす効果は、もしかしたらあるかもしれませんけど。
他の動作と同様、丁寧に正確に練習しないと上達しません。
で、練習方法としてお伝えしたのは、金剛搗碓の足を上げたところから、ゆっくりゆっくりと、要諦を守りながら、音もなく、静かに足を下ろすというものです。
先輩は、なんだか不服そうでしたが。
私の感覚としたら、金剛搗碓の震脚は難しいです。足を踏み変えるときとか、飛ばされて着地するときに震脚するほうが、簡単です。
でも、練習するなら、金剛搗碓が良いとは思います。
というか、先輩の専攻は陳式じゃないのだから、震脚を学ぶ必要もないと思うなあ。
陳式をするなら、いきなり震脚じゃなくて、金剛搗碓の正しい形から学ぶ必要があると思います。
ダンクシュートの練習をする前に、ドリブルの練習をしましょうよ、というかんじですね。
きちんと、金剛搗碓の正しい形ができてくれば、いつの間にか震脚もできるようになってた! というくらいのつもりが良いのではないかなあーと思うのです。
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