いじめの問題を考える

小学校お受験の面接の練習が幼児教室でありまして、サンプルとしてだされた質問の中に、「いじめ問題をどう考えますか?」というのがありました。

他の親御さんの練習の時だったんですけど、パパもママも、ギギギと言葉に詰まってしまわれました。先生があわてて「ちょっと、難しいですよね、これはやめときましょう。」と撤回。

たしかに、準備なしに即答できるような問題ではないですね。

うちの子が受ける学校の過去の面接試験データでは、いじめに関する質問はなかったんですが、この際ですから、いじめについても考えておこうと思います。

目次

いじめの体験談

私が小学生の頃のイジメは、単純なものでありました。(昭和50年代)

ウンチを漏らした子が、やーい、うんこたれーと、からかわれたりしてましたが、仲間はずれで無視とか、怪文書の配布とか、陰湿な嫌がらせはあまり聞かなかったです。

中学生になると、カツアゲという恐喝行為が頻繁にありましたけど、受ける側には服従か反撃か、という二択がありました。(ケーサツへ!という意識は低かったです。)

服従したら奴隷で一方的に搾り取られます。これも今の時代ではイジメに含まれましょう。

 

おとなしかった私は、けっこうカツアゲに遭いましたが、意外と服従したことはないんです。胸ぐらをつかまれて制服のボタンが飛んでいったりしても、金銭的被害はありませんでした。

たぶん、木刀で頭かち割ったろか!という反骨心が見えたからだと思います。(剣道部だったので木刀も学校に持っていってた。)

 

お前のチ●チ●曲がってるとか、いわれのない非難を受けてデフォルメされたイラストを黒板に書かれたりしてましたが、「黒板に落書きすんな!」と、先生が代わりにぶん殴ってくれてましたので、スカッとしておりましたです。

男子はそんな感じでした。女子はよくしりません。

ちかごろニュースで聞くイジメとは、ずいぶん違っておりましたね。

いじめの定義

イジメの定義は、一人の子に対して、よってたかって共謀して、暴力やイヤガラセなどの痛みを与えること、といえるのではないでしょうか。

1対1の場合は、集団の場合とは、やや心理は違うような気もしますけど、一方的なものならイジメといってよいでしょう。

いじめの定義も時代とともに変わっていって、今はこんなのだそうです。

※ いじめ防止対策推進法のでの定義
「いじめ」とは、「児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係のある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものも含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの。」とする。なお、起こった場所は学校の内外を問わない。
「いじめ」の中には、犯罪行為として取り扱われるべきと認められ、早期に警察に相談することが重要なものや、児童生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるような、直ちに警察に通報することが必要なものが含まれる。これらについては、教育的な配慮や被害者の意向への配慮のうえで、早期に警察に相談・通報の上、警察と連携した対応を取ることが必要である。

 

直接的暴力や持ち物を隠す壊す、陰口悪口、イケズに無視など、昔ながらのものから、セクハラ、万引きの強要など犯罪的なもの、ネットのSNSを使った今時のイジメなど、様々な形態があります。

いじめられた子がいじめられていると痛みを感じるものがイジメであるというのが、きょうびのイジメの定義のようですね。

いじめが殺人や自殺につながることも増えているようで、昔のように軽く考えていると怖いです。

イジメの原因

集団で一匹を小突いたり除け者にしたりするイジメというのは、猿でもアヒルでもあるようで、本能というか遺伝子に組み込まれているんじゃないかと、私は考えています。(上のアヒル達のなかに、いじめられているのが一羽います。)

種の保存の為のプログラムだったりすると、脳ミソからイジメ欲求を取り除くのは不可能でしょう。

 

動物のイジメの目的は異端の排除なのかもしれませんが、人間はなんぴとたりともすべからく等しく幸福に生きる権利を奪われてはなりません。

ですから、イジメはなくさねばなりませぬ。

と思うのですが、なくなることはないでしょう。本能ですから。

なくなることはないという前提で、対応を考えねばと思います。

いじめの動機

人間の場合、動物より、もう少し、高度な欲望がありまして、イジメの動機には、支配したいとか、権力を誇示したいとか、そんなのもありましょう。

自分より弱いものを攻撃することで、自分の存在意義や価値を確認しているとも考えられます。

集団でのいじめの場合、行動をともにすることで集団に所属したい欲求を満たしている、仲間はずれになりたくないという心理も働いているかもしれません。

マズローの欲求5段階の3段目か4段目くらいにある、社会的欲求、承認欲求というもので、人間はアヒルより、ちょっと複雑なのですね。

 

マズローの説を持ち出しましたが、生物の行動の動機は、すべからく「快楽を求め痛みを避ける」ということに集約できます。

イジメに当てはめますと、自分の強さを確認できる、集団に所属できる、ということが快楽、いじめないと弱い側になる、集団からハミゴになるというのが苦痛になるわけであります。

 

イジメることが快楽だと脳ミソが感じている限り、いじめはなくならないでしょう。

逆に、イジメをすることが苦痛であると、脳が感じるようにすれば、イジメはしなくなると考えられます。

イジメは低俗な行為である、武士道にもとる、男が廃れる、女も腐る、将来に渡って徳が失われ貧乏生活に陥り、あなたが死ぬときにはみんなが笑顔になる、という恐怖感を、脳ミソに植え付けるのが良いかと思うのですが、口で言ったところで、子どもたちが聞く耳を持たねば、脳ミソに入っていかないのが難儀。

イジメの動機がなくなるとき

イジメより快楽なことで満ち足りていれば、いじめはアホらしく感じると思うのです。

私は、いじめっ子側に入ったことはなかったですが、それは色々と関心事が多くて、しょうもないメンバーに関わる気になれなかったからです。

 

いじめメンバーに入らなくても、マズローのいう人間の欲求を満たせるような環境があれば、そちらのアクティビティに参加している方が快楽だと思われます。

いじめっ子って、日頃から、あんまり満たされてないんじゃないですかねえ。

昔を振り返って、いじめっ子の顔を思い出すと、みんなコンプレックスの塊だったように思えます。

リア充じゃなかったんですね。

 

ふと、リア充という言葉が浮かびましたが、狭い学校生活、みんなおんなじような環境の中で過ごしていると、これも、むつかしいのかなあ。

クラブ活動に熱中させるのもいいと思うのですが、クラブの中でもいじめっ子っていそうだし。(たぶん熱中するほどの活動でもないのでしょう。)

また、家庭でも欲求が満たされてないんだと思います。

 

大人の場合は、別の方面の快楽はたくさんありますね。

子供であっても、恋をして、彼氏彼女とイチャイチャしている方が、きっとイジメより楽しいです。

ガールフレンド、ボーイフレンドができれば、イジメをする気は失せると思いますが、全員をカップルにするわけにもいかんでしょうし、分け隔てなく、すべての子供からイジメの動機を取り除こうとするのは、無理です。

学校の先生がたの努力だけでは、難しいと思います。

 

文部科学省の取り組みでは、

「いじめをなくすため、まずは、日頃から、個に応じたわかりやすい授業を行うとともに、深い児童生徒理解に立ち、生徒指導の充実を図り、児童生徒が楽しく学びつつ、いきいきとした学校生活を送れるようにしていくことが重要である。」

となっております。

何を上っ面なことを言っているんだい、というかんじですね。

しかし、学校の先生ができることって、せいぜい、このくらいのものじゃないでしょうか。

ですので、学校からイジメはなくならないと思います。

いじめられる原因

反対に、いじめられる原因は何でしょう。イジメのマトにされる原因を考えてみます。

出る杭は打たれる的なイジメもあれば、おとなしくて集団になじまない子が、集団の団結力を高めるための生贄的ターゲットになることもありましょう。

頭が良かったりハンディキャップがあったりという、平均値からはみ出している子もいじめの対象になりやすい様子。

いじめっ子が快楽を与えてしまうような要素を持つ子供が、ターゲットになりやすいのでしょう。

 

そういえば、私は子供の頃、賢くておとなしいおぼっちゃまであり、掃き溜めに鶴的存在でした。まわりは悪ガキばっかりで、浮いてました。それで学校のバカどもに妬まれていた気がします。

私の場合、直接攻撃的なイジメに対しては、木刀振り回したる、と身構えておりましたし、無視とか陰口は、全然平気というか、もともと一人が好きだったので気にならなかったですが、犯人の分からないような陰湿なのは、困りましたね。

でも、勘が鋭くなってきて、足にブスっと刺さる前に、上履きの中の画鋲に気づけるようになりました。

おお、宮本武蔵みたい、これも修業の一環だと受けいられることができ、精神的にタフになりました。

学校のトイレでウンチをするときは、水をぶっかけられないように電光石火の早業です。早メシ早グソは中学生の頃に養われたのでありました。

 

ところで、高校は公立でもわりと賢いところに進学できまして、そうすると妬まれるようなこともなく、というか成績は平均以下になりましたけど、イジメはまったくなくて快適でした。

受験を通すと、学業成績もそうですが、感覚も、わりと近い子が集まるのかもしれません。

高校では、数人の仲のいい友達と、クラブの仲間との付き合いは濃かったですが、クラスの子とはあまり話さなかったし、卒業まで名前を覚えてなかった子もたくさんいます。仲が悪かったわけじゃなくて、関心外というか、みんなそんなかんじ。

それぞれ好きなことをしているので、それを尊重し、干渉しない雰囲気がありました。

 

すなわち、私が変わったのじゃなくて、環境が変わってイジメがなくなったのであります。ですので、イジメられる原因というのは、ところ変われば原因じゃなくなるんじゃないかと考えられます。

つまり、いじめは、いじめられる子が悪いのじゃなくて、本人と環境のマッチングが悪いのです。…と、私は思います。

間違いだらけのイジメ対策

親や先生が「なんで、いじめるんだ!」と声を荒げても、いじめっ子達が自覚しているわけでもなく、無理矢理な理由をつけて正当化するばかりでしょう。

いじめはいけません、と論理的な説明をしたところで、子供が理解すると期待はできません。理性より本能のほうが強いからです。

子供のいじめを止めるためには、罰を伴う強制力に走ってしまいがちです。

しかし、力に頼ると、力の及ばないところにドロドロと流れ込んでいくことになり、先生の目の届かないところでの陰湿ないじめに変質していきます。

 

親が、学校の先生や、相手の家庭に怒鳴り込んでいったり、裁判沙汰にしても、根本的解決にはならないですね。

それは、思慮浅きモンスターピアレンツです。

かえって悪化して、学校に我が子の居場所がなくなります。

いじめを受けない対策

本能や遺伝子レベルのいじめ行動を避けるための一番効果的な対策は、隔離だとおもいます。私は。

アヒルに、いじめはやめよ、と説くより、ケージを分けたほうがいいです。

ということで、最良策は我が子が浮かなくてすむような学校への転校です。もしくは休学させて、勉強は家庭教師とか。

 

…あまり現実的解決策の提案になっていないような気もしますが、命にかかわるようなイジメから逃げるには、これがいいような気はします。

昔ながらの単純な暴力的イジメの対策なら、空手とか習って、瓦割りのデモンストレーションでもやって一目置かれる存在になればよかったのでしょうが、現代のあの手この手の陰湿なイジメの前に、腕力は無力でありましょう。

武道は、戦わずして勝つ、精神的な修練にも役立ちますが、小学生の6年間でそこまで習得できるようなものではないです。(板割りくらいなら、すぐできるようになりますけど。)

 

環境が変わるまで、卒業まで耐えられそうなら、我慢して、成長の糧にするという考え方もありますが、それも子供の精神力、イジメの程度にもよりましょう。鍛えるどころか、人格破壊されたら取り返しがつきませんし。

いじめられて優しさを知る、人格形成に役立った、という子も確かにおりますので、一概にはいえないですが。

我が子をじっくり見てよく聞いて、親が判断すべきこともあると思いますね。

親ができるイジメ対策

親がするべきことは、怒鳴り込むことではなくて、まずは自分の子供をよく知ることでありましょう。

責めるのではなく、けしかけるのでもなく、どういう気持でいるのか、なにができそうなのか、よく見極めることだと思います。

そして、親が子供の一番の味方であるべきでしょう。

学校が戦場でも、家庭は安全な砦であると思えれば、家にいる間は安らぐこともできましょう。学校の外に精神的な逃げ場が必要です。

いじめられっ子って、家庭でも居場所がなかったりしますが、温かい家庭を作るのは親の責任です。

 

それだけだと引きこもりになってしまいそうなので、家庭外、学校以外に子供が生き生きと活動できる場所を作ってあげたいですね。

我が子に合いそうなこと、喜んで行きたくなるような場所、習い事でもいいでしょうし、野外活動とかお年寄りへのボランティアとか、もしかしたら同年齢の子どもたちではない大人の集まりが良いかもしれません。

おじいちゃんおばあちゃんがたくさんいれば、無条件にかわいがってくれるでしょうし。

親も一緒に参加するというのも、いいかもしれませんよ。私も子供と一緒にカンフーを習いに通っております。親子の絆も深まります。

 

不良グループとか、変な新興宗教にハマる前に、ぜひ。

見て見ぬふり、放置主義では、子供が死んでしまうかもしれない時代です。

命の重さ、生きていることの喜びを伝えるのは、親の責任ではありますが、親が力不足をわかっているなら、頼れる人に頼って、人の助けを借りるのも良いと思います。

 

 

…と長々考えてみましたが、面接で答えるには長すぎますので、

「子供がいじめを受けているとわかったら、しっかりと原因を考えて、家庭でもよく話し合い、担任の先生とよく相談して、学校の方針におまかせします!」

と、優等生的受け答えをしようと思います。

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