太極拳 用法秘伝

とある先輩が、とある太極拳のグループラインに、24式太極拳の套路動画を、ポンとアップされたのです。コメントも何もなしで。

おや、なんだろう? と思って見てみたら、その日私が道場で相手した人に伝えていた内容を、ことごとく外している動画でした。

上下があってない、円襠開胯になっていない、中定を外して双重になっている…みたいな。

はて、先輩とは練習してなかったけどなあ、横で聞いていて、アカン例を参考に上げてくれたのかな? と思って「NG集?」みたいなコメントをしてしまいました。

が、その動画、出所を辿ると、なんとまあ、大会の金メダル連覇選手のようでした。

大変失礼なことを書いてしまった。まあ、本人が見るわけじゃないですけど。

あらためて金メダリストだと意識して敬意をもって動画を見ましたら、いや~これは素晴らしいなあ! …とは思えず、やっぱり変だ。

そんな流れで、24式の伝説の老師という動画にも辿り着きまして、そちらに太極拳用法秘伝という動画があり、それも興味を持って見てみました。

えええーっ? と思いました。

アウトボクシングの間合いよりさらに遠い間合いから、なんだか的の定まらないパンチが飛んでくるのを、片手でよけて、もう片方の手で打ち返したり引っ掛けたりするという実演でした。

そんな間抜けな攻撃をしてくる奴がおるかい! という問題はさておき、この間合いは太極拳っぽくないなあ。キックボクシングや少林寺拳法の間合いじゃないですかね?

この間合いから本気で打ち込まれたら、私には躱せる気がしません。最初の一発を躱せたとしても単発なわけがないし。目が悪く反射神経の鈍い私は、ボッコボコに殴られ蹴られる自信があります。

初発を打たせたところで、すでに勝負はついていると思うのです。負けで。

だいたい、太極拳の用法を紹介するなら、搭手から始まるのがセオリーだと思うなあ。搭手からであれば、初発を封じることも可能です。

競技推手よりさらに近間の超密着戦なら、敵の突き蹴りは予測できるし無効化できます。それが太極拳らしい戦法ではなかろうか。

この伝説の老師は推手を知らないのでしょうかね?? そういえば動画集に推手は入ってなかったです。

あんまり人の悪口をいうのも宜しくないですが、発信者の経歴や立場を敬って、多くの人が参考にするであろう動画とか書籍とか、闇雲に信じて実践すると、5年後10年後、真面目に修行してきた人ほど、残念な思いをするような気がします。

人生無駄にした、時間返せ! という思いです。

本屋さんやYouTubeで見る教材は、そんなのが大半のように思います。

たまに、これ、いいなあ!と思えるのもありますが、それなりの経験と見る目がないと、なかなか気づけませんね。

太極拳の修行は、正しくスタートするところから、なかなかに困難だと思える今日この頃なのです。

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