太極拳。問題箇所を指摘しても治らない

私は太極拳の指導員の認定とか資格を持っているわけではありませんが、あちらこちらで聞かれてアドバイスなどをする機会が増えてきました。

知っていることはできるだけ丁寧に、その人のレベルに応じて理解しやすいように伝えようと心がけております。

それで、ひとつ気づいたことがあります。

問題箇所そのものを指摘したところで、修正はできないということです。

多いのは、力が入りすぎ、とか、膝が爪先より前に出ている、とかですね。

「ファンソンして!」とか「膝の前引きはダメ!」という声をよく聞きますが、そんな指導では、まず改善しません。

力まないと思うほどにガチガチになり、膝を意識するほどにガクガクになります。

「ピンクの象を想像するな!」と言われれば、ピンクの象が思い浮かんでしまうのと、同じことでありましょう。

そのような指導を受け続けてきた人は、脳みそがガラガラになっていることが多いので、問題の部分は一旦忘れていただいて、まったく別方向に意識を向けてもらう必要があります。

力むとか力まないとか、膝の角度とか、意識できないようなアドバイスをすることにしています。

「お腹にボウリングの玉が入っていて、それがズズンと地面に沈むように、片足で立ってみて?」とか。

これなら力むことはできないし、膝の角度は物理的に矯正されます。

肩が上がりがちの人には、肩ではなく肘を意識してもらい、足元に目線を落としがちな人には、私の背後霊を探してもらいます。

日ごろ気にしているところを重ねて指摘するより、思いもよらなかったところを考えさせて、パラダイムシフトを起こすのが良いです。

私は安田先生から、何度パラダイムシフトを受けてきたことか。

私は良師につけてラッキーでしたが、太極拳が上手でも指導能力はイマイチという先生もおられます。

指導員の養成コースではどんなことを教えているのかしりませんけど、生徒が上達するような指導方法というのも、研究が必要じゃないかなあと、分不相応でエラソーなことを、つい考えてしまったのでありました。

気とか勁とか纏絲とか丹田とか、初心者に理解しがたい用語を並べて煙に巻いて、自分が悦に入っているような指導は論外でありましょう。

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