発勁で人を飛ばす練習

私が通っている道場の一つに、壁にマットを立て掛けているところがあるのです。

推手で飛んでいっても安全なようにというためのものですが、このマットに向かって、向かい合った相手を押し飛ばすという練習を皆さん、よくされています。

私も最初、オーすごい練習だなーと思ったものですが、すぐ、こんなのは太極拳の練習じゃない、頑張ったら下手になる、と思うようになりまして、ながらくやってませんでした。

というのも、みなさん、後ろ足を踏ん張って、勢いをつけて、うおりゃーと押し飛ばす練習になっているのです。

私は四両撥千斤を目指しておりまして、ムキムキマッスルパワーを養う練習はしたくないのです。

しかし、このたび、やってみよと言われまして、しょうがないなあと思って、1年以上ぶりに先輩相手にやってみました。

腕組みして構えている先輩の腕に両掌をピタッと付けて推すわけですけど、こんなガッチリ構えて、動かないぞ!と踏ん張っている人を押そうと思ったら、力づくにならざるを得ないですね。

それはやりたくない。

で、ふと思いつきまして、そうだ、ちょっと揺らしてから押したらどうだろうと、軽くちょんと揺らしてみました。

するとその反動が返ってきて、吸い付くように化勁できます。

あ、打つチャンスだ、と思って、発勁したら見事! マットまでドスーンと飛んでいってくれました。

コツが分かればあとは簡単。

連続してポンポン飛ばせるようになりました。ほとんど失敗しません。

腕の伸ばして押し切ることもないし、足を踏ん張ることも重心移動も必要ないです。接触点はおそらく10センチも動いていません。それでいて、先輩はマットまで1メートルぶっ飛んでくれます。

両掌を張り付けなくても、片手でも、手の甲でも、指でも肘でもどこか触れてさえおれば発勁できます。当たり前のように簡単にできます。なんぼでもできます。疲れもしません。気持ち良いです。

とうとうこんなことができるようになった! と感動しました。

私が最初に発勁で飛ばされたのは5年くらい前でしたね。

あの時はずいぶんビックリしたものですが、ようやく自分でもできるようになりました。

とはいえ、相手が誰彼なしに飛ばせるというわけではなさそうです。先輩が掤勁を保って、私の勁をちゃんと受けてくれるからできたのだと思います。

まったく勁を知らない人には、ちょっと難しいかも。

ガチガチに力んで踏ん張ってくる相手には効くかもしれませんが、初心者のオバサマとか、推手でも手がフニャフニャしているような人にはたぶん効かないと思います。

もっと研究が必要ですね。

 

 

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