中国武術と支那武術

本日7月1日は、中国共産党が誕生して100周年だそうで、おめでとうございます。

100年前に、毛沢東が中国共産党を創立し、その後に中華民国政府を大陸から追い出し、中華人民共和国という独裁国家ができあがっていったわけですね。

私が生まれたときに、中国はすでに中国であり、中共という呼び方は、ゴルゴ13の最初の方に出てきたくらいじゃないかな? と思います。

私が憧れたカンフーは、「中国武術」と呼ばれており、ブルース・リーもジャッキー・チェンも、鳥山明や高橋留美子のマンガにでてくるのも、中国武術だと認識しておりました。

中国は4000年の悠久の歴史があり、文化発祥の地であり、武術の聖地だと思っておりました。

学生時代に、武術研修で上海や杭州に行ったときは、とっても嬉しく、ワクワクした毎日でした。

ですので、かつての私は、中国大好き少年でありました。

岡山県や広島県を、中国地方と呼ぶのは、紛らわしいこっちゃ、と考えておりました。

しかし、大人になっていき、色々と見聞も広がり、裏の部分も見えてきました。世の中はインターネット時代となり、大学の図書館にはなかったような情報にも触れられるようになってまいりました。

事実を知っていくにつれて、私の中国に対するイメージは、変わっていきました。

まず、中国の歴史は、1949年からです。共産党創立より新しいです。その前の国家は、中華民国です。略せばこれも「中国」にならないこともありませんが、それでも1912年からです。

その前は、清だったし、その前は明でした。その前は元、どんどんさかのぼって、随とか唐とか三国志の魏呉蜀とかあって、漢があって、秦の始皇帝の秦、その前が周、殷、夏。

国が変われば、政権をとる民族も交替したわけで、4000年の歴史は、ぶつ切りの歴史です。

「中国」の歴史というならば、日本の中国地方のほうが古いです。

中華民国以前の、大陸国家を表す言葉は、国際的にはChinaでしょう。漢字で書けば「支那」です。

Chinaの語源は、始皇帝の時の秦だそうです。秦自体は20数年しか続きませんでしたが、シンとかチンとかチーナといった呼び方が隣近所に認識されて、その後、王朝がコロコロ変わっても、最初の呼び名が世界中に広まったらしいです。

ラテン語のSinaeの当て字として仏教界で用いられたのが「支那」だそうです。

「中国」なんて呼んでいるのは、実は、日本と韓国と、あと何カ国かぐらいのものだそうで、世界の大多数の国は、シンとかチンとか言っているそうじゃあないですか。

日本では、「支那」は差別用語みたいに思い込まされているフシがありますが、ごく一般的、普遍的、歴史的名称だったのでした。

中華人民共和国政府、つまり共産党は、100年間、野蛮なことを繰り返してきています。

最近、大きく扱われだしたウイグル問題、チベットや香港のこと、台湾や尖閣諸島も現在進行中、私が学生の頃に起こった六四天安門事件、血なまぐさいことがいっぱいです。

そういえば、大学で講師をされていた支那人のおばあちゃん先生は、よく文革と毛沢東の批判をされていました。(モーレツに興奮して、訛り丸出しになって聞き取れなかったですが)

それでも当時の私は、ピンときておりませんでした。天安門もリアルタイムだったのに、あまり話題になってなかったし。

文化大革命では、武術家も反革命分子ということで、ずいぶんひどい目に合ったと聞きます。虐待され、殺され、散り散りバラバラに逃げて隠れて生き延びたそうです。

今は外貨獲得のための客寄せパンダみたいなポジションになって、政府からも優遇されているみたいですが…。

太極拳が成立したのは、明とか清の時代であり、「中国」より古いです。共産党は武術家を迫害した敵じゃないですかね?

そう考えると、「中国武術」なんて呼び方は、古の武術家に対して、失礼じゃなかろうかとさえ思います。

武術こそ、連綿と長い歴史を持ち、民族を超えて受け継がれてきたものでありましょう。

Chinese martial artsは、支那武術と訳したほうが、正しいように思います。

今の「中国」王朝が、どこまで世界の覇権を奪っていくのかわかりませんが、歴史上なんども繰り返されてきたように、圧政に苦しむ民衆の恨みを買って、政権は倒され、再び交代するに違いなかろうと思えます。

50年後の人々は、「昔はソ連とか中国って国があったんやでー」みたいに話しているかもしれません。支那武術を楽しみながら。

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