太極拳に柔軟体操、準備運動はいらない、と、ちょいちょい聞きます。
私の通っている教室には、柔軟体操に結構な時間をかけるカルチャーセンター的教室もあれば、チョロチョロぱっぱと、おあいそ程度にするところもあれば、全くしないところもあります。
私自身は、子供の頃から、かなり柔軟体操が好きで、今でも開脚して胸が床に付きます。
これは小学生の頃に、運動嫌いで人一番体が硬かった劣等感の、反動です。
ブルース・リーやジャッキーチェンを知ってから、柔らかくなろうと思って、かなり頑張りました。リー・リンチェイなど、少林寺の武術は、体が人間離れして柔らかいですわね。京劇や、中国の武術学校で行われる、ものすごくハードなストレッチ体操のTV番組にも刺激を受けたものです。
でも、太極拳では、そこまで柔軟体操やストレッチに時間をかけないですね。
目次
太極拳のストレッチ
長拳には、圧腿など足をぴーんと伸ばすトレーニングがありますね。うちの子も教室でやってます。
でも、太極拳は、足をぴーんと伸ばす動きがないですね。
表演では、足をやたら高く上げるポーズも見かけますけど、制定太極拳ができる前の昔ながらの太極拳は、蹴り技は腰より下を狙うということで、あんまり高く足はあげないそうです。
私が学んでいるのは伝統太極拳だし、足を頭の高さでピタッと止める、なんて動きはありません。
そんなわけで、アクロバティックな動きのためのストレッチは、あんまりしなくなりました。
基本功が準備運動
しかし、そのかわり、毎日、基本功の練習には時間をかけています。
とくに、お尻を床ギリギリまで沈み込ませる動作は、つらいですが頑張っております。
このポーズのもっと低いの。
↓
このポーズが、なかなかうまくできませんでした。(このイラストは、なんだか崩れていてちょっと変ですけど。)
低い姿勢でも、安定した構造を作るのが、難しいのです。
開脚して胸が床につくという柔らかさとは、またちょっと違う柔軟性が求められます。股が開けばよい、というもんでもないです。
この動きを、右、左、と何度も何度も入れ替える練習をしていると、股関節の柔軟性が養われると同時に、相当に足の筋肉が発達します。
基本功はいくつも種類がありますが、いずれもそんなかんじです。太極拳の基礎トレーニングといってもいいのではないでしょうか。
武術に必要な柔軟性の養い方
本当に武術で求められるのは、筋だけ伸ばして柔らかい、というものではなくて、筋力もあり、柔軟性もある、というものですね。
筋だけ伸ばして、筋肉がないのは、怪我の元とも聞きます。
太極拳の基本功は、ストレッチ、筋トレ、を同時にやっているようなものになっています。
これは、姿勢を低くしたほうが、効果があります。陳式はわりとそうだと思いますが、他の太極拳もそうみたいです。
昔は、楊式太極拳であっても、机の下に潜り込んで推手をしていたそうですよ。
それもはるか昔の話じゃなくて、いまの先生方のおじいさん世代はそうだった、という話です。
太極拳に力は不要といいますが、筋肉がなくてもいいということではなくて、あるほうがいいです。柔軟性もある方がいいです。
太極拳は、マシンを使った筋トレや、筋を伸ばすストレッチ体操じゃなくて、基本功をしっかり練習するのが良いみたいです。
低い姿勢は年配の初心者の人には、厳しいと思いますけど、若い人はチャンレンジすると良いですね。ただし、形だけ真似して自己流でやると、膝を痛めかねませんので、先生に教えてもらってやりましょう。
(この指導ができる指導者は、そう多くないような気もしますけど)
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