太極拳譜の理論 王宗岳、武禹襄、李亦余の太極拳理論

太極拳の理論書のもっともベーシックな王宗岳の太極拳論、その他17の太極拳譜を、日本語訳にしたものが出版されました。

 

太極拳譜の理論~超入門編~

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この本は、いつも推手の修行をしている有志のメンバーが作成したものであり、監訳が日本武術太極拳連盟の西村先生と、龍門書院の徐濠先生です。

実は私も編集チームに入っており、ちょろっと名前も載せてもらっておりますが、古い中国語の太極拳専門用語の翻訳やら解釈やら、さっぱりわかりませんもんで、まったく口出しすることもできませんでした。

翻訳された日本語を見て、これ、誤字では?という程度の指摘をさせてもらっただけなので、実質、なんにもしてないといえます。笑

名前を載せてもらって、なんだか申し訳ないです。

太極拳学習は理論も必要

太極拳って、ただガムシャラに体を動かしていれば、いつしか習得できるというものではなく、かなり学問的な勉強も必要だと、このごろ感じております。

もちろん、練習もろくすっぽせず、口だけ達者のノウハウおじさんになってしまってはいけませんけど、勁とか虚実とか、「なにそれ?」といっているようでは、上達はおぼつかないです。

そのへんの理論は、太極拳の肝です。知らないと太極拳にならないです。

これがない太極拳は、ただゆっくり動いているだけの体操であって、格闘技術もろくに知らない力まかせの乱暴者にも、対応できないでしょう。

ウェブ上には怪しい理論がいっぱい

太極拳の理論と言っても、巷のネット情報には、怪しいのがいっぱいです。

私も似たようなものですけど、素人の学習途上の人が推測で書いているのとか、他武道の経験者が、無理やり自分の知っている武術の理論に当てはめて書いているものとか、ピント外れなものがわりとあります。

ひどいのは、マンガかゲームで覚えたんか? というような知識を並べていたりして、それをまたオタク同士が議論していたりして、不毛な世界を作っております。

最も古い、根本的な理論は、この本に書かれている太極拳論その他の、古文です。

全く知らない、というのは具合が悪いです。

これを全く知らないで、あれこれと太極拳を語るのは、運転免許もないのに、世界のスーパーカーを語るようなものです。

推手をやらないと理解不能

しかしながら、難解ではあります。

「超入門」と書いてありますが、全くの初心者には、おそらく理解不能です。

日本語訳を読んでも、なかなかわかりにくいです。

套路しか練習していないという人も、感覚的に理解できないと思います。

原文を書いた達人たちは、簡化太極拳や制定太極拳が作られる前の、武術としての太極拳の修行者です。相手がいて、手を合わせてやり取りするときの、コツやら戦い方の理論を書いたのが太極拳譜です。

かっこよく表演する方法を書いているのではありません。

日本語訳は難しい

日本語訳は、いろんな本に、ちょろちょろ載っていますけど、一部抜粋だったり解釈の仕方が著者によって違っていたり、全体的に網羅したものって、なかったのじゃないでしょうか?

中国の古文を、当時のニュアンスを残して、正確な日本語に訳すって、相当難しいチャレンジだと思うのですけど、この本がその集大成です。

といいつつ、なんだか日本語として、いいまわしがへんだなあ、と思うところもあります。苦労の跡が滲んでおります。

何度も何度も手直しされ、ようやく出版となりましたが、第三者の目で見て、正直に言うと、まだまだ、練れていないなあ、よくわからんなあ、と思います。(すみません。)

それに、現代語で意訳されているものは、代表的ないくつかだけで、解説的な拳譜は、原文と書き下し文だけになっています。下手に訳すと、かえって勘違いを招きかねないということで、先延ばしになっております。

ですので、なんというか、未完成っぽいかんじではあります。

それでも、太極拳を真剣に学習するつもりの人は、一冊持っておくといいのではないでしょうか。

最初はよくわからなくとも、修行をしつつ、たまに読み返してみれば、だんだん理解できるところが増えてくるんじゃなかろうかと思います。(すいません。実は私も、半分の半分の半分くらいも、よくわかりません。)

太極拳の練習方法

第2章は、古文の訳ではなく、具体的に理論にそった練習方法が書いてあります。

こちらはまだ、わかりやすいです。

ただし、こちらも套路の順番がどうのこうのというような内容ではありません。

これも主に、推手の練習のさい、意識しておくことや知っておくこと、注意するべきことなどが書かれております。

知らないで推手を頑張っていると、間違った方向に進んでしまう可能性が大です。

間違った推手をしてしまっている人は、けっこう多いように見受けられます。長年やっているベテランでも、思い違いをしている人はおられますね…。

間違いだらけの推手

作用反作用とか筋肉の使い方とか、一般的なスポーツ力学的な思考では、太極拳にはならないですが、けっこう、そういった思考で頑張っておられる人はおられるような気がします。

しかし、頑張ってやっておられる先輩方に、若輩者の私が、「ちょっとそれ、違いまっせ。」とは言えないです。言ったところで、「お前に何がわかる?」と嫌がられそうだし。

もうお年の人が多いし、いまさら間違っていると言われても修正は難しいだろうし、その路線で頑張ってください…という気持ちになってしまいます。

そんな人には、この本を、そっと差し上げたいですけど、なんやこれ? と一蹴されそう…。

私は幸いにも、いい先生たちに恵まれ、わりと正攻法の修業の道を歩めているように思います。

勝ちにこだわったり、力むことがほとんどなくなりました。だいたい負けます。

といいますか、上手な人に、崩されたり飛ばされたりする気持ちよさを喜んで味わっております。

それでも、普通に形通り手を回しているだけで、相手が勝手に崩れる、ということは、たびたび経験するようになってきました。正しくできるようになってきている、ということだと思います。

ひたすらフィーリングとニュアンスだけを大事に繰り返し練習していても、そのくらいのレベルにはなるかもしれませんが、それ以上となると、やはり理論を知らないと、進めないように感じております。

太極拳は、むつかしいです。やればやるほど、難しいと思うようになってきました。

というわけで、この「太極拳譜の理論」です。

もっと分厚く詳しい、解説の充実した本もあるかもしれませんが、全体がコンパクトにまとまっていて、テキストにしやすいという意味でも、よろしいかと思います。

>>太極拳譜の理論~超入門編~

「推手はしない!」と決めている人には意味のない本になるかもしれませんが、興味ある人は、ぜひ。

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