太極拳は風水だと、習ったのです。
先生は、そのまた先生(陳正雷老師)から、30年の学びの中、たった一度きり、そう教わったそうです。その時は意味が分からなかったけれども、年月が経って、わかるようになったとのお話。
私も近頃は毎日、日の出を見ながら練習をしておりますので、なんだかわかる気がします。
太極拳は、ひとりで無味乾燥に動作をするものではなく、その場所、その土地、その時の季節や天気、自然や宇宙に合わせるもんだという話なのでした。
だから練習場の環境も、よく知っておかないといけない。山はどっち、川の流れはどうとか。
練習するときは、東西南北をきちっと合わせます。
先生は「今日はツバメが低く飛んでいるなあー、あ、虫捕まえた」と観察眼が鋭いです。
私の套路は、その点がまだ甘いと指摘されました。
方位方角を意識し、意念の方向、力の方向が合わさった時、太極拳になるのだ、というようなかんじで教えていただいたのであります。
深いなあ~、太極の世界は。
そして広い。
狭いコートの中で、審判の目を意識して、動線を考えるというような、小さな話ではないのです。
太極は風水、宇宙なのですね。
前回の指導のあと、だいぶ形も整ってきたから、次のレベルに進みましょう、と言ってもらえておりましたが、これが次のレベルの話だったのですね。次の套路じゃなかった。
私自身、ある程度、中身も充実してきた自覚がありましたが、今回の話で、またもやパラダイムシフトです。
外形を整え、内面が満ちて、それがゴールかと思ったら、ふたたび、外界に合わせるという段階があったとは。
そういえば、前に読んだ陳沛山先生の本に、一遍拳、二遍拳という段階の話が書かれていました。
一遍拳が形作りの段階、二遍拳で内勁、三遍拳が内気運行と発勁、ここで第二路を学ぶということです。第二路はおおむねOKと言っていただきましたので、私は三遍拳の段階にいるのですね。
四遍拳は「勁の緩急、陰陽の変化を完全に習得する段階」とあります。大圏から小圏、無圏を目指し、圏が入骨するということですが、まだよくわかりません。
五遍拳は無形の段階、動けばすべて太極拳、ということです。
風水に合わせるというのは、どこの段階にも書かれておりません。もしかすると、風水に合わせるというのは、太極拳のスタート地点なのかも。
そう考えると、実は最初に習っていたような気もします。すっかり忘れていたのが、レベルが上がってきて再び、これが重要なんだと認識させられたのかもしれません。
指導を受けて、帰ってから、東西南北、意念の方向、勁の方向を意識して練習してみると、夜はバタンキューと倒れて、ものすごくよく眠れました。
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