掃腿のコツ

掃腿は、まあ、普通にできるんです。推手の練習しているときに、フッと出たりもします。

足を引っ掛けて、転ばすまではしませんが、おっ、うまくかかった、と手応えを感じることは、たまにはあります。

掃腿は、これまで、見様見真似から始め、サンドバッグを蹴っ飛ばしたり、サッカーボールを蹴り返したり、地面に円を描いたりという独自の工夫をしだし、低い姿勢に慣れてきて、だんだんと纏絲や丹田の感覚ができてくるうちに、なんとなくできるようになっておりました。

掃腿は、太極拳を知る前、ジャッキーチェンに憧れた中学生のころから練習していたので、掃腿歴は40年近くになります。

が、まともに、それっぽくできるようになったなあと思ったのは、ほんの最近です。

で、こういう考え方で練習すればよかったのか、と知ったのが、数日前です。

「掃腿」と、ウェブ検索すると、「素早くしゃがんで相手の足を払うように蹴る」「しゃがみこんで足払いを掛ける」「寝た状態で足を払う蹴り方」という説明が見つかります。

しかし、この認識、イメージで練習すると、できないです。できるようになるまで、とても大きな回り道をすることになります。

低い姿勢になる、と意識から始めると、よろしくないです。

太極拳には、体の向きを変える歩法や足使いは色々ありますが、それらと同じと考えれば良かったのでした。

掃腿だけが、低い姿勢の特殊な蹴り技、と思い込むと、難しい技になります。

他とそう変わらん、と思えば、楽です。そのうえで、低さに耐えられる体作りをしていけばよいのです。

あーあ。ずいぶん回り道をしてしまった。

掃腿にかぎらず、何の動作でもそうです。見かけの迫力や派手さだけにとらわれて、名人、達人の形ばかりを真似ようとすると、中身が伴うまでに、途方もない時間がかかります。

中身や、基本原理、考え方を知れば、達人の形とは違っていても、ぜんぜんカッチョ良くなくても、本質からアプローチできます。

形は、だんだん整えていけます。遠回りしているようで、最短距離をいけます。

元来、武術修行は、効率良く習得できるための順序段階カリキュラムが先人により考えられており、初心者はそれに従い修行していけば、短期間で実力がつくというシステムだったのだと思います。

その道筋に正しく導いてくれるのが、良師です。

私の場合、あっちにいったり、こっちにいったり、基本をすっ飛ばして難易度の高いことをやってみたりで、全然モノにならず、右往左往の日々、良師について、基本からやり直し、となったのが、30年も経ってからという迷いっぷりでした。

まあ、それはそれで良かったのだろうと思うことにしまして、過去を肯定し、今は、よそ見、寄り道をやめて、真面目に陳式太極拳の修行をしている日々です。

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