四正から四隅

日曜日の公園に太極拳愛好家たちが集まっておりまして、私はだいたい推手グループにいるのです。

最近は、推手チームにも、おばさまたちのメンバーが増えまして、私も色々と質問されますもので、極力、懇切丁寧に説明するようにしております。

おばさまたちは、たいていは、簡化二十四式を習っている方々で、四正推手のやり方を尋ねてこられます。

勘のいい人、悪い人、様々ですが、それぞれの皆さんにわかりやすいよう、手を変え品を変え、いろいろな例えで理解しやすいように伝えようと努力しております。

教えることで、私自身気づくことも多く、勉強になります。

私以外にも、先生役の人は何人もおられますが、非論理的長島監督的ニュアンス重視の人もいれば、気がどうのこうの丹田がどうのこうの、煙に巻くような説明に終始される方もおられるし、部分的テクニックばかり言っている人もいるし、教える方もいろいろです。

私が心がけているのは、なるべく原理原則に沿った基本的なことから伝え、そのうえで、虚実とか双重とか、あいまいな概念を、きっちり言語化して左脳で理解できるように説明し、そして、右脳で理解できるように、何度も何度も実演を繰り返すということです。

成功体験、失敗体験を、たくさん味わってもらいます。套路の動作ともリンクしてもらいます。

一人に教えるのに時間がかかるので、たいてい、一回あたり、ひとりか二人くらいしか、教えられません。

自分で言うのもなんですが、私から説明を受けた人が、一番上達していっているように思います。

ですので、私から教えてもらいたそうな人が、なんだか並ぶようになってきましたが、悪いですが、知らんぷりしています。愛想よく受け入れたいところですが、中途半端になって、誰にもまともに教えられないというのも、嫌なので。

ここでは私は先生ではなくて、一介の愛好家に過ぎませんので、全員に教える義理もなく、気が合いそうな人にだけ伝えております。

素直そうな人には、喜んで教えますが、嫌な感じの人は、避けます。もしくは、私の実験台になっていただきます。

さて、けっこう勘のいいオバサマがおられまして、これまで5,6回伝えてきて、おおむね四正推手はOKだなあ、というレベルになっています。

上下前後の4方向の動きはだいたい飲め込めているし、掤勁の隙間もなくなってきているので、あとは、多くの人と、たくさん練習して、ひたすら精度を高めていくといいと思うのです。

しかし、この段階から、次の段階に進むということを、ちゃんと学ぶ機会が、おそらく無いと思うのです。

このままだと、たぶん、ズルズルとベテラン勢に混じっていって、基本の四正推手とは違うやり取りに遭遇して、混乱して、デタラメな推手になります。私自身が、ずいぶん回り道してきたので、だいたい予測がつくのです。

せっかく、正確にできているのに、そんな風になると残念ですので、まだ早いかなあと思いつつ、というか、私自身、教えられる程のレベルではないような気もしつつ、前後上下にプラスして、横方向、斜め方向への方向転換を加えた四隅推手も伝えてみました。

これは私自身、安田先生に教わったことを、まだ実験中です。学んで、試して、納得して、効果を確認できていることを、私なりに言語化して、伝えてみました。

まだちょっと、え?え?え?という感じなのですが、脳内書き換え、上書きできている感じはありますので、もう何回か、このおばさまには伝えてみたいと思っています。

数ヶ月もすれば、もしかしたら、ベテラン勢を、いいようにあしらえるようになるかも?

これも実験です。楽しいことです。

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