套路とは

太極拳教室の先輩の議論をきいて、おや? と思いました。

太極拳は、内功が大切。套路を練習しても、上達に何十年もかかって、非効率。内功の習得法は門派の秘伝なので、正統な弟子しか学べない。

…というようなことだったのです。

内功が大切というのに異議はありませんが、私は、套路はもっとも効率のよい合理的な練習方法だと思っておりまして、毎日毎日練っている身としては、ちと、同意いたしかねます。

内功が限定された人しか学べないというのも同意しかねます。

そもそも内功の練り方は、最初に学ぶものです。站樁功とか、基本功とか…。

内功は太極拳学習者の誰もが学ぶものであり、もっとも効率よい練習法が套路です。分解した動作として理解しやすいのが基本功であり、さらに動きを付ける前の静かな学習法が站樁功です。

站樁功、基本功と順番に学び、それから套路を練習する。套路の補助練習として、推手や武器もやる。そしたら10年くらいである程度のレベルにはいける、そのように考えています。…というか、学んできました。

先輩の主張では、套路がなんか軽んじられているように思うんですが、どうも、套路というものの概念というか、イメージが、私と先輩では違うんじゃなかろうかという気がします。

おそらくの推測ですが、先輩は、套路は表演で美しく見せるもの、カッコつけのためのもの、実用できないものくらいに考えておられるのかもしれません。推手は一生懸命されてますが、あんまり套路には熱が入ってないというか、公園で大勢でやるのに混じっているだけ、みたいなかんじです。

私は逆でして、20年の長きに渡り、套路には最強武術の秘密が隠されていて、ひたすら練習していれば、そのうち悟れる、と思っていたのですが、ぜんぜん上達しなかったのは、本当の方法を知らず、内功も練れていなかったからだと思います。

安田先生に学び直すようになって、本当の套路のやり方を知り、ひたすら練習していたら、内功を感じるようになってきました。

武術としても、最も合理的な体の使い方をインストールできるのが套路だと思っています。

套路を練るほどに、推手も上手になっていっている実感があります。

というわけで、両輪であるところの套路と推手、どちらに重きをおくべきか、と聞かれれば、套路の方に一票入れてしまうであろう私でありました。

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