カンフーガール 感想

八神かおり著「青春拳法開眼小説カンフーガール」を読みました。Webで太極拳のことを調べていたら、この本の口コミ情報があり、面白そうだったので買ってみました。

ウチの娘もカンフーガールだし。

廃版になっているらしく、新品はなし。アマゾンで中古が売ってましたが、なんと、定価の倍以上のプレミアム!

近所の図書館のホームページで検索をかけてみましたが、これもなし。

しょうがない。プレミアム価格で、日焼けして変色して、かなり何度も読まれたであろう、手の跡と、ページに折り目がついている中古本を買わせていただきました。

で、面白かったです。

私はいくつもの本を、複数同時に、ちょびちょびと日にちを書けて読む習性があるのですが、このカンフーガールは、読み始めから一気に最後まで読んでしまいました。

なんで、この小説、漫画になったり、映画になったり、ベストセラーになってないのかなあ?と思ったくらいです。

おそらく、武術の内容が、マニアック過ぎて、表現しづらいのかな? でも漫画くらいにはできそうですが…。マニアックな漫画は結構ありますものね。

ざっくりあらすじを書くと、ちょっと頭の悪そうな、でも進学校に通っていて、将来の夢は経済アナリストだという、本当は頭のいい空手少女が、カンフー映画に憧れて、いきつけのラーメン屋の中国人の親父に、カンフーの先生紹介してよー、と頼んだら、実はその親父は、かつてアジア諸国で達人とあがめられていたけれど、色々あって武を捨てたという凄い人だった! という話です。

毎日、ラーメンを食いに来るということを条件に弟子にしてもらい、地味な修行が始まり、修行僧志願のハンサムなボーイフレンドができたり、剣道部の親友の先輩を未経験の剣道でやっつけたり、ラーメンおやじの壮絶な過去が語られたり、出版社企画の女子格闘技戦で優勝したり、最後は、ラーメンおやじの師匠の敵(の弟子の弟子)の八卦掌の使い手を倒す、という物語。

主人公のカンフーガールが、一人称で語っている構成で、これが軽くて面白いです。

ラーメン師匠から学ぶのは、微妙にショボイと表現される武式太極拳で、修行も地味です。一日24時間一週間、站樁功とか、鉄砂袋にペタペタと掌を落とすのを3ヶ月とか。

太極拳に鉄砂袋の修行が必須ととは知らなかったです。でもなんだか、納得いくように書かれていました。やってみようかな。

あらすじをざっくり書きましたが、武術にまつわるいろんなマニアックなエピソードが書かれていて、面白いし参考になりました。これは、どうかな?と思うようなところもありましたが、これも数ある説のうちの一説ですね。

主人公の良子ちゃん自身も面白いですが、ラーメン師匠も、とぼけた、いいキャラクターです。

作者の八神かおりさんの、他の本はないのかなと調べましたが、何の情報もありませんでした。

女性みたいな名前ですけど、本当は男じゃないかなあ?

東京都出身、自称・中国拳法研究家、趣味は料理とマンガ、という以外の情報がないのです。

想像するに、子供の頃から、空手やら拳法やら学んできて、武術好きが高じて、大卒後、武術雑誌を作っているような出版社に就職して、ライターになって、多くの名人・達人から話を聞いたりして、記事を書いたりDVDを作ったりしながらも、自分の作っている雑誌の、売らんがためのインチキな方針に疑問を感じ、本当に書きたいことを小説にして、自分の会社には黙って、偽名で、よその出版社に売り込んだ、というところじゃないかなあ。

しらんけど。

なんにせよ、面白いです。名作です。

興味をもたれた人は、アマゾンでプレミアム価格で買ってください。

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