他流派の道場を訪ねるということ

他流派の道場をお邪魔する際は、注意すべきことがあるんじゃないかなあと思いましたので、ちょっと考察してみます。

先日、知人が道場主を務める合気柔術の道場の練習に参加しました。

知人は、軽い気持ちで私を誘ってくれたのだと思います。私も軽い気持ちで参加しました。

知人は私と手合わせして、新鮮な面白さを感じてくれたと思うし、私も初めての経験で楽しかったのです。

これが、個人同士の交流なら、特段の問題もないと思うのですけど、しかしその場には、道場の練習生がいたのです。

ある人は、私に大変興味を持ってくれたようで、目をキラキラと輝かせ、いろいろと質問をしてこられました。聞かれると嬉しいもんですから、なんでも答えておりました。

ある人は、目をギラギラを光らせ、明らかに敵愾心に燃えておりました。態度は紳士ですが、太極拳、なんぼのもんやねん! という気持ちが、滲んでいるようでありました。私も手ごたえのあるとこ見せとこうと思って、頑張ってみました。(手ごたえのないのが太極拳ですが)

ある若い女性は、突如紛れてきた異端の者に、目をウロウロさせて戸惑っているようでした。これまで学んできた情報にバグが混じって混乱しているようでありました。私は申し訳ないので、なるべく何もしませんでした。

ある若者は、その日はじめての武術体験でした。ポケッとした目で眺めており、こやつには何もわからんと思って、気にしませんでした。

まあ、いずれにしても、私の方には特に困ることはなかったのです。

しかし、道場の今後の雰囲気とか、練習生の道場主に対する態度とかに、多少なりとも変化が起こるんじゃないかなあと心配です。いい変化じゃなくて、悪い変化です。

外部と触れることが刺激になって、自分の武術をますます頑張ってくれればいいのですが、あっちの方が面白そう!と転向を考える人がいたりしたら、道場の経営にも影響が出ます。

他武術に好奇心を持つのも、敵愾心を持つのも、正常な反応だと思いますが、道場運営の立場で考えると、あまり他に目を向けて欲しくはないと思うのです。うちが最高! と思っといてもらわねば。

考えすぎかもしれませんけど。

私がちょくちょく参加している異流派推手交流会の参加者は、全員個人ですので、その辺の問題は何もありません。そもそも推手そのものが、他流の皆様には異端の技術です。

しかし、幹事に聞くところによると、武術教室や道場を経営していた人は、誰も来られなくなったということでした。自分の教室の運営にマイナスの影響があると考えられたのかもしれません。

やはりメンツというものがあるのだと思います。ほかの流派の人に、コロコロ転がされていたら、自分の生徒に示しがつかん、ということもありましょう。直接聞いたわけではないのでわかりませんけど。

私にはあまりメンツという感情はないです。メンツや過剰なプライドは、上達の妨げになると思っています。

合気柔術の知人もメンツはなさそうで、しばし生徒さんをほっぽり出して推手に夢中になっていましたが、主たるもの、メンツやプライドも多少はもって、生徒さんを気に掛ける必要があるような気がいたしました。

ということで、今後、太極拳以外の教室に誘われた時は、外部講師的ポジションで紹介されるのでなければ、なるべく受け身で目立たないようにしようと思います。

もしくは、ほかの生徒さんが参加しない、個人的な交流にとどめておくことを提案しようと思います。

そして私自身は、すでにマンション自治会で数人レベルの教室をボランティアで主宰しておりますが、その程度にとどめて、銭儲けのために拡大して、メンツに縛られないように気を付けようと思ったのでありました。

世間で持ち上げられてチヤホヤされるより、太極の真理を求めて、ただひたすら仙人のように修行しているほうが、楽しいだろうと思います。ってそれ、安田先生の路線だなあ。

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