襠と胯

カンフー名人の軽々した体術と、そうでない人のモッサリぎくしゃくした動きとの違いは何であろうか? と以前に疑問に思い、私の中では、「纏絲の有無である!」と結論付けていたのですが、もっと論理的知性的に解説してくれている人がおられました。

推手道場のライングループでのやり取りで知ったのです。

北川延江という人の「太極拳から学ぶ会」というブログです。ブログタイトルからして知性的ですね。

動画やイラストも交えて詳しく解説されていましたが、簡単に言えば「襠と胯」の違いです。

武術に限らず、スポーツの上手な人は、またぐら(襠)を丸くして体全体で動いていて、そうでない人は、股関節(胯)で動いている、ということでした。

反復横跳びの比較動画がわかりやすかったです。

襠を丸くしたまま、体全体で跳ねている人と、跳ぶたびに、ぐちゃっとつぶれている人では、全然スピードが違っておりました。

なるほど! と私は、持った湯飲みをバッタリ落とし、小膝叩いてニッコリ笑ったのであります。

ブログでは体感の違いなども解説されていて、たいへん共感を覚え、勉強になりました。

ところで、道場のラインで話題になったものですが、これを理解したからといって、今日から軽々シャープに動けるようになるかといえば、そんなはずもないですね。

というより、既に体感できている人でないと、理解できないのではなかろうか?

できている人のメカニズムを解説されていますが、できない人ができるようになるための秘訣ではないです。

できるようになるには、理論より実践です。理論を知らずして頑張るより、理論を知ったうえで頑張る方が上達が早いとは思いますが、何を頑張ったらいいのか、実践方法がわからないと、上手にはなれません。

その、何を頑張るかの「何」、上達のための実践方法が「基本功」だと思います。

上手にならない人って、時間と根気と体力が必要で単純で退屈そうな「基本功」より、賢そうな「理論」の方に、値打ちを見出しているような気がします。

基本功には先人が経験から編み出した理論が隠されており、頭で理解できなくとも、愚直に頑張っていれば、上手になれます。

理論ばっかり詳しくなっても、アプリをダウンロードだけして、実行していないようなものです。

推手を始める人が増えてきているのは喜ばしいことですが、どうも理論派が増えてきているような気もしないでもないのです。

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