定歩推手の弊害

ちかごろ、私の周りでは推手を楽しむ人が増えてきており、喜ばしいことです。妙齢の女性が多いですね。

みなさま、あちこちの教室で二十四式太極拳を習っておられ、試験を受けるのがキッカケで推手を始めたという方が多いようです。

主に、定歩での四正推手の練習をされています。

日曜日の公園の推手では、私が先輩になりますので、色んな人から、アドバイスを求められるようになりました。

しかし、ほとんどの人に共通しているのが、虚実分明になっていないということですね。

足を踏ん張って、前のめりになって、手で押したり、後ろにのけぞったり、上体をひねって交わしたり、手も、強張ったり、フニャフニャになったり、一定の掤勁が保てません。

私もそうだったので、ダメなところがよく見えます。

これは、定歩での練習しかしていないことに原因があるように思います。足を動かさないので、虚実を分けるということが理解しづらいのです。ずーっと、双重です。

で、私がアドバイスを求められたら、前足に載るなら、もっと完全に載ってみて! なんなら後ろ足を上げて片足になって! と伝えます。

そうしようとすると、今までの倍くらい顔が動くことになり、顔同士が近接します。密です。息がかかります。ニンニク臭いです。

えーっ、ここまで前による!? と驚かれます。いや、これが太極拳の間合いですよと。

後ろに載るときは、もっと、後ろに、前の足はあげて、片足になってみて! お尻だけ引っ込めるんじゃなくて!と伝えます。これもやっぱり驚かれます。

定歩じゃなくて、歩きながら行う活歩推手なら、自然と虚実を分けざるを得ないと思うのですが、どうも推手は定歩という暗黙の了解があるようで、それはきっと、そういう大会があるからだと思うのですが、武術の練習としては、なんだか、変だなあと思った次第です。

 

 

コメント