いつも、なにかテーマを持って、太極拳の練習に取り組んでおりますが、ここ最近意識しているのは「按勁」です。套路練習でも、推手のときでも意識しています。
ゼロインチパンチの「暗」勁じゃなくて「按」勁です。掤・捋・擠・按・採・挒・肘・靠の按です。
すなわち、下向きに働く力です。
套路は形通りにやれば、下向きの動きがありますが、推手の時って、前に押すか、後ろに引くかに意識がいって、あんがい按はできてなかったなあ、と気づいたのです。
このごろは、うまく決まれば、相手がポンと飛ぶ、ということもありますが、下向きにカクッと落とすというのは、できたためしがありません。
私自身は、按勁によって、落とされた経験はあります。
後ろにポーンと飛ばされるのって、わりと余裕があります。うまく着地すれば、すぐに体勢を立て直せるし、失敗しても、ゴロゴロ転がって、受け身もできます。
しかし、按で真下に落とされると、体勢を立て直す余裕などありません。それどころか、自分が上を向いているのやら、下を向いているのやらも、わからなくなります。立ち上がることもできませんし、気分は「生殺与奪の権を他人に握られているッ!」です。
ああ、引進落空って、これのことかなあー、と思います。
考えてみれば、下向きの力は、地球の引力にそのまま添わせればいいのですから、もっとも効率的で強烈でありましょう。
柔道やプロレスみたいに、持ち上げて落とすのではなくて、ごく軽い力を加えるだけで、スコーンと落としてしまう太極拳の按勁は、地味ながら必殺技と言っていいのではないかと思います。
これは、太極拳を学ぶ者として、マスターしておきたいなあと思いまして、意識して練習している今日このごろです。
追記
ヒントを頂きました。
按になるのって、後ろに引いている時、つまり捋勁の働いている時なのだそうです。(通常の姿勢の場合)
これが前向きの力、押している方向、つまり擠勁が働いているときは、通常、相手には、浮く力が働きやすい、つまり掤勁に変化しやすいのですね。
押せば浮き、退けば沈む、という原則があるのでした。
前に押しながら、下に沈めるのは、ちょっと無理があるということで、なるほど、按できるのは、押されて退くときなのですね。試してみようと思います。
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