手塚治虫「アドルフに告ぐ」感想・レビュー

年末に妻が大掃除を始めたので、私も本棚の整理などをしているふりをしていたら、古いマンガが出てきました。

手塚治虫「アドルフに告ぐ」。

10年以上ぶりに読みだすと、面白い!

一気に読んでしまいました。やはり手塚治虫は天才やなあ。

時代はベルリンオリンピックから、イスラエル建国後あたりまで。

神戸のパン屋の息子でユダヤ人の小学生、アドルフと、同じく神戸のドイル領事館のえらいさんの子のアドルフと、そしてアドルフ・ヒトラーの3人のアドルフが出てきます。

主人公は新聞記者の峠草平ですが、弟がドイツで死ぬ直前に残した、ヒットラー出自の秘密を暴く文書にかかわってしまい、ナチスやら特高警察やらに追われ、どんどんえらいことになっていきます。

仲良しだった二人のアドルフも、その文書をめぐり対立する運命となります。

ナチスの精鋭になったドイツ人のアドルフは、最後はナチス狩りに追われ、パレスチナ解放勢力に参加し、パン屋のアドルフはイスラエルの軍人となり、殺し合うのです。

以前読んだときは、昔話のように思っていましたが、今読み返すと、なんだか今の話?ってくらい現実感があります。

世界も国内も、揺れ動いていますよねえ。アドルフの時代の激動が、70年の時を経て、ふたたび揺り戻しが来ているような。

ふたたび何千万人も死んで、国がなくなったり、新しい国ができたり、そんなことになっていくのかもしれませんね。

正しく知り、正しく考えて、正しく動けるよう、心がけておかねばならんなあと、つくづく思うのでありました。

とりあえず掃除しなさいっ! って怒られそうですが…

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