幸福の王子 感想

オスカー・ワイルドの童話「幸福の王子」のお話をせよと、娘にせがまれましたが、私が覚えているわけがないので、ユーチューブにあった朗読を流してお茶を濁したのですけど、そのストーリーを聞いて、こりゃひどい、と思ったのです。

追記:のちほど、絵本も読みましたので、その感想も追記します。

幸福の王子 あらすじ

童話って、大人向けとか子供向けとか、訳者によってとかでずいぶんストーリーも変わるみたいですけど、ユーチューブで聞いたのは、こんなおはなしでした。

・・・

王室で勝手気ままに暮らしていて、幸福だと思って暮らしていた王子は、死後、金ピカの銅像になりました。

銅像になってみて初めて気づいたのが、民衆はあんまり幸福でもないな、と。

不幸な家庭がいっぱいです。

そんで、たまたま足元で雨宿りに来ていたツバメさんに命じて、自分の刀の装飾やら、宝石でできた目玉やらを、恵まれない家庭にばらまかせるのです。

まあ、遅ればせながらの罪滅ぼしってかんじですね。

ホントは、暖かい国(エジプト)に渡って越冬するつもりだったツバメさんなんですが、王子の命令に逆らえないで、いいなりになって働いているうちに、海を渡る時期を逃してしまいまして、ミッションを果たした後、王子の足元で死んでしまうというお話。

追記:のちに読んだ絵本でも、同じような内容でしたが、最初の方で、目玉のサファイアを配布してしまい、目の見えない私の代わりに、困っている人を見つけてくれと、ツバメさんに頼むエピソードが有りました。

幸福の王子 解説

私が、ひどいって思ったのが、王子様のツバメに対する態度です。

言葉遣いは丁寧ですが、上から目線の命令口調なんです。

ツバメさんは、はやくエジプトに行かないと困ってしまうと、自分の事情を一生懸命説明するんですが、王子は全く無視。軽くスルーです。

自分の生前の不義理を果たすために、たまたま居合わせたツバメさんを下僕のようにこき使い、自己満足のバラマキ政策を実行するんですよ。

マッチ売りの少女に、価値もわからんだろう宝石を届けて、ああ、いいことした、と王子は満足。ツバメさんにも、ええことしてるねんで!と、自分の価値観を押し付けます。

追記:絵本では、勉強がはかどらない苦学生にも宝石を与えたりするんですけど、勉強する交換条件に、おこづかいを頂戴とか言いそうで、子供には悪影響ですねえ。

すべての宝石・貴金属類をばら撒きおわった後、ツバメさんは、力尽きて、もうここで死んでもよろしいわ、と弱音を吐くんですけど、王子が、いやそれはあかん、エジプトに行きなはれ、と今更ながらに言うんですけど、もう遅い。

ツバメさんは、哀れ、死んでしまいます。

しかも、死に際には、王子様を愛している、なんて思い込んでおります。DVで正常な判断ができなくなった人みたいです。

王子様も、ツバメさんを愛している、キスしておくれ、などとのたまいまして、まったく、自分のわがままで他人を振り回したあげく、形だけ取り繕って、自己正当化しておるのですね。

遥か遠くの恵まれない人のためといいながら、いちばん身近な協力者を、ないがしろにしております。

よくわからんボランティア活動に精を出している親不孝者、みたいなかんじです。

もしくは、死んでも王様気質は治らなかった、という強烈な皮肉なお話なのかな、と思った次第です。

実際、ウィキペディアには「皮肉と哀愁を秘めた象徴性の高い作品。」と説明されているのですよね。

優れた童話

さて、大人になって、ずいぶん斜めな視点で童話に接するようになってしまいましたが、これを子供にはなんと伝えるべきか、悩んでしまいますねえ。

幸福の王子は、けっして、Happyな話じゃありません。どっちかというと、やるせない、後味の悪いお話です。

(神様と天使に救われるという、取り繕ったようなハッピーエンドのお話で締めくくられるのですけれども。)

私の子供には、物事には裏表、二面性、陰陽があるのだよ、と教えたいと思いますけど、小学1年生には早すぎるような気もするし、困ったものです。

でも、それをなんとなく感じさせるのが、優れた童話なのかもしれませんね。

「めでたしめでたし」で終わらせては、実は作者の真の意図を汲み取っていないのかもしれません。

幸福の王子に限らず、童話は、その本当に狙っているところを考えながら、深く味わって読んでみたいと思います。

追記:王子様が名君になるために

うちの子供には、以下のように教えました。

王子様は、いい人かもしれないけど、考えが足りないので、大したことができなかったのだよ。

王子様はサファイヤを手放すべきじゃなかった、なんでも見通す目があるのなら、それは大事にして、もっと多くの人を救うべきだった。

自分の持ち物を配るというのは、なくなったら終わりなのだから、バカのすることです。もらったほうも、喜ぶのはその時だけ。もっと知恵を使って人助けをするべきだった。

サポーターに、ツバメさんを使い続けたのは間違いであった。冬でも活動できる、犬とか、猿とか、キジとか、大勢に手伝ってもらったら、もっといいことがたくさんできたはず。

本に書いてあるからと言って、なんでも正しいと思ってはいけません。しっかり自分で考えよう。

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