竹井正巳「丹田とツボで創る竹井式陳式太極拳の学び方」感想・レビュー

年末に本棚の整理をして、もう読まんだろうと思った50冊くらいの本をダンボール箱に入れていたのを、ブックオフに持っていきました。

「民間が所有する中央銀行―主権を奪われた国家アメリカの悲劇」という本に800円つけてくれましたが、他は良くて200円、ほとんどが10円とか5円とか。

太極拳関係の本も、私が手放していいと思うようなのは、二束三文でしたね。値段がつかないのもあったし。

みんなまとめて2,000円くらいでした。

で、査定の間、スポーツコーナーを眺めていて見つけた本がこちら。

竹井正巳著「丹田とツボで創る竹井式陳式太極拳の学び方」です。1,500円くらいでした。買いました。50冊と1冊引き換えかあ~。

「月間秘伝」の連載をまとめた本らしいですが、なかなか斬新な切り口でした。

ざっくりまとめると「上下のツボを垂直に合わせましょう」というテーマの内容です。

私も、肩と腰、肘と膝などを合わせる「上下相随」を学んできましたし、生徒さんにもそう教えておりますが、それをもっと細かく、ツボで考えて説明しているのが斬新です。

といえ、「そんなに厳密なものでもないし、ツボばっかり意識していたら変になるから、だいたいで良い」とも書いてあって、そんなら私が学んできたことと大して変わらんなーというのが感想です。

「合わせるというより、探すかんじで」と書かれていたのには、おお、その感覚はわかる! と共感しました。

著者が考案したという、棒を使った練習法も紹介されていましたが、伝統の棍術があるんだから、それでええやん、とも思いました。

でもまあ、日頃私が練習しているのと、そんなに変わりません。

套路の説明は、そんなに大したことは書いておらず、ざーっと読み流しました。

面白いと思ったのは第4章「資料編 コラム・メモ・写真」です。

どうやらこの本は、著者が亡くなられたあとに出版されたものらしくて、前半は「月間秘伝」のまとめですが、後半は編集者が取材ノートや記憶を頼りに書いたものなのです。

第4章は付録っぽい内容で、秘伝に投稿されていた短い文章や、公開を想定していなかっただろうメモ書きみたいなものの寄せ集めです。

これが面白い。

太極拳を実用するにはどう考えたらいいかとか、気や丹田の感覚とか、極意とか狂気とか、危ない人やったんかな? と思えるところもあったりして、若いころから、試行錯誤色々考えたり迷ったりされていたのだろうという雰囲気を感じることができました。

松田隆智先生に習っていた話は新鮮でしたし、大学の少林寺拳法部で先輩にマッサージさせられた話には、あはは、おんなじや!と親しみを覚えました。

あ、そうそう!と共感できるところもあれば、へ~~と感心するところもあり、そこはもう通り過ぎた、と上から目線で見れるところもあったり、太極拳人生を歩んだ一人の男の、思考の遍歴を辿れるようで、面白いかったです。

よく考えたら、私のこのブログもそうですね。

私は一応読者を想定して書いておりますが、竹井先生のメモには、公開するつもりはなかったのでは?と思えるのもあって、天国で「おーい! これは見せんなよ~」と思っているんじゃないでしょうかね?

そんなわけで楽しく読めましたが、あんまり初心者向けでもないです。

1,500円で買いましたが、売りに行ったら10円じゃないかなあ。

ちなみに800円で買い取りしてくれたアメリカの銀行の本、アマゾン中古本がプレミアム価格で1万円を超えておりました。

くそ~。ヤフオクで売ればよかった!

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