氷上の太極拳

太極拳の教室として使用させてもらっている体育館が、長い連休中に、床の油引きをされたようで、ツルツルピカピカ。

準備体操のときに、指導の先生が率先してスッテンコロリ。

「みなさん、今日は滑りやすいので、気をつけましょうねー」ということで、皆様も、「わあ、すべるぅ、やりづらい!」なんて、きゃあきゃあ喜んで?おられました。

しかし、日頃より、底がツルツルの布靴で練習している私は、ああ、今日は引っ掛かりが一段となくて、やりやすいなあ!と喜んでおったのです。

滑る床はいい練習になります。

足の裏の摩擦係数が低い場合、体重の載せ方が悪いと、ツルツルと足が開いていって、股裂きの刑になります。私も布靴を使い始めた当初はそんな感じでした。

足が広がらないように、内股に力を入れて耐えておりましたが、体重の載せ方、足の開き方、股の下が円筒になるよう心がけているうちに、自然と楽に立てるようになってきました。

今ならスケートリンクの上でも、套路ができるような気がします。(機会があれば試したいです。)

太極拳では、体重移動のことをよく指導されますが、床が氷だと思えば、おそらく理解しやすいです。

たとえば、前足に載っている体重を後ろ足に移動させる場合、前足で床を蹴るようにして体重を移そうとしたら、スッテンコロリですね。

地面は蹴らず、腰から上、丹田あたりを意識して、体は真っ直ぐなまま、静かに後ろ足に体重を持ってくると、転ばないです。

足を運ぶ場合は、100%体重が載ってから。中途半端なポジションで足を上げると、これまたスッテンコロリです。

体重は氷面に対して、常に真下、垂直方向、地球の中心に向かっていないと、静止状態になった時に立っていられません。

両足で立つ場合、左右に重みが広がっていくような姿勢では、股裂きの刑です。どちらの足も、真下方向に体重を載せませんと。

ということは、両足に体重を載せているより、片足に偏らせたほうが安定しやすくなります。

というか、両足を地面につけたまま、片方に体重を100%載せるより、いっそ片足立ちになったほうが楽、ということに気づけます。

蹴る動作はダメ

先生によっては、後ろ足や前足で地面を蹴って力を出すというふうに教えておられますが、上記の理論によると、それはどうも疑問に思えます。

スパイクを履いて行う陸上競技とか、粘着性の高い靴を履いての綱引きとかなら、地面を蹴り出して力を出すというのは、そのとおりだと思うのですが、太極拳は違うように思うのです。

足裏の摩擦に頼らない動きが太極拳っぽいです。

陳家溝の土地柄

私が布靴を履くようになったのは、「太極武芸館」というサイトの記事の中で布靴を勧めていたのを読んでからですが、そもそも太極拳は、氷やぬかるみの上で練習するのだとは、最近、教えていただきました。

教えてくれたのは、若い頃より陳家溝に行って、陳正雷老師の自宅で住み込み弟子になって修行してきた安田先生です。(先生には学生時代にもお世話になりましたが、最近、再会したのをキッカケに、時々教えを請うております。)

先生のお話によると、陳家溝は寒い土地柄で、冬は地面が凍るのだとか。

だから、足の向きは始終微妙に動いているし、両足を広げていても、全体重は片側に載せなさいとか、かなりきつい体勢を指導されます。

私は長年太極拳の練習をしてきましたけど、先生に再会して、基本からデタラメだったなあと、ショックを受けた次第です。基本功からやり直しです。

指導の間、休憩のときなどに入る先生のお話は、太極拳の源流というか、昔々に遡るお話や、陳家溝その他の中国での経験談や面白エピソードなどもあって、楽しいです。

へーほんと! というような目からウロコ話も多いです。日本では誤解されているけど、本当はこう、みたいな。

日本では学べない太極拳の秘訣(PR)

その安田洋介先生の著書がつい先日、発刊されました。タイトルが「日本では学べない太極拳の秘伝 大陸武者修行で得た本場の練拳と身体文化」。

「月刊秘伝」で連載されていたものを、まとめた本ということです。

私は月刊秘伝の連載は読んだことはなかったのですが、指導の時に言うてはったことが載ってるなあー、もっと詳しく書いてはるなあと、面白く読んでおります。

まだ、全部読んでないので、読み終わったら感想文を書かせていただこうと思いますが、まずはご紹介まで。

 

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