推手だけでは太極拳は上達しない

週に1回か2回、多ければ3回ほどは推手の練習をしています。相手がいるのはありがたいことで、恵まれた環境に感謝です。

その上で気づいたことがあります。

推手をしないことには太極拳は上達しないと言われますが、推手だけでも太極拳は上達はしないなあと、最近、実感を伴って思えるようになってきました。

推手ばっかり熱心で套路練習をあんまりしない先輩を追い越したからです。

やはり太極拳の練習のメインは、基本功と套路ですね。

推手は聴勁を養う訓練ですが、套路の練度(功夫)を測るもの、実験するためのものでもあります。

推手に負ければ、套路の未熟に気づけます。自分のウィークポイントに気づけるといいますか。

推手で勝つことには、たいして価値はないですね。負けてナンボです。

套路にない、推手だけに効果があるような小手先のテクニックが器用になって、同輩を転がせたとか、道場で勝ちっ放しになったところで、他武道の人には通用しないだろうし。

パンチやキックも打ちこまれると考えたら、そんな小手先テクニックは役に立ちません。推手の相手の顔面や股ぐらに、スキがあるなあ、実戦なら当てに行っているなあと思うことは、ちょいちょいあります。それは武術じゃありませんね。

何が役に立つかと言えば、やっぱり、先達が何百年もかけて練り上げてきた形だと思うのです。

同じ相手と切磋琢磨するのも良いとは思うのですが、やっぱし、相手のウィークポイントを見つけて次はそこを攻めようとか、みみっちい考えに束縛されるような気もします。

太極拳は武術であって、常連のライバルに勝ってトーナメントで優勝するのが目的ではありません。

未知の敵に、研究もリハーサルも無しで対抗できるのは、推手テクニックではなく、伝統の套路だと思うなあ。

というわけで、推手の練習はそこそこにして、基本功と套路、武器の練習に時間を多くかけようと思います。

そして推手は、同じ相手ばかりでなく、知らない人とお手合わせできる機会を大切にしていこうかなっと思ったりしています。

 

 

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