私が推手を知ったのは学生時代、陳式太極拳を習い始めたときでしたが、この時は、こんな練習方法もあるよ、といった程度のものでした。
それから、ブランクがあったりして再び推手に出会ったのが、二十数年のち、地元の大仙公園です。ここでは、いろんな教室の人たちが集まって、いくつかのグループになって練習しており、私はN先生たちのいる推手グループに参加したのであります。
いろんな先生、先輩に教えてもらいました。ここでの推手のスタイルは、楊式、呉式のスタイルでして、正面で向き合って、お互い同じ側の足を出して、搭手から始める四正推手でした。
まあまあ上手になりましたが、陳式太極拳を学ぶ私にとって、これは結構な回り道だったなーと、今は思います。
当時、縁があったのがそちらのスタイルだったし、陳式推手をする人なんていなかったので、しかたがなかったのですけど。
この楊式スタイルは、相手が同じスタイルの人とか、まだ修行歴の浅い人となら、楽しくできますが、これが他流派の武術の猛者相手となると、もう間に合いません。
自然と日頃最も練習している、陳式の立ち方、構え方になります。歩幅が前後に広く、やや斜め向き、足までほぼ密着というおなじみのスタイルです。こっちじゃないと、他流派の人とは対等にプレイできませぬ。やっていると、こっちの方がしっくりくる、と気づきました。
さて、私の妻や、生徒さん方には陳式スタイルで教えています。
いきなり四正推手をやると、手足バラバラになって、纏絲が全然まとまりませんから、基本功の動作を、向かい合わせになって、手を触れあって、やる、みたいな感じです。
雲手とか、同円纏絲功とかですね。お互い、基本の通りに動いて、相手に合わせ、歩法もつけてやっています。
ずーっと、陳式の基本功と套路をやってきたのに、いきなり全然形のちがう楊式の推手をやると、戸惑ってしまいます。
最初の基本からの延長線上に沿って、カリキュラムはあるべきだと思うようになりました。
というか、これも安田先生に言われたことなのです。私が楊式スタイルでやっているもんだから、そうじゃない、でも、しかたがないねえ、みたいに言ってもらってました。
その時は、そんなもんなんかな?くらいにしか思ってませんでしたが、今はつくづくその通りだと思えます。
私の教室メンバーで、相手を崩していいのは、先生である私だけ。基本から外れているところを指摘するのが目的です。
へたっぴーのうちから相手を崩そうなんて思うと、基本から外れて、太極拳じゃなくなるからです。
私相手なら、仕掛けてきてもいいよ、といってます。取られて流されて崩される感覚を知ってもらうためです。
勝ち負けはなし。
こういう教え方ができるのは、私が最初から教えている人に対してだけですね。少数派のマイノリティーかもしれませんが、うちが正統派だ! と声には出しませんが、思っております。
まあ、安田先生から習ったこと、そのまんまなのですけど。
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