競技推手の大会に参加してまいりました。
体重別になっておりまして、私は軽量級。
なんと! 3等賞を頂いてしまいました!
といっても軽量級選手は3人でして、つまりビリです。総当たり戦で、軽量級選手2名と、無差別級でおひとり、合計3人と対戦しましたが、あっさりストレート負け。1ポイントも取れませんでした。
太極拳の推手と、競技推手は別物だとは聞いておりましたが、まったく、全然違いましたねー。
これは、大会の主催団体の方も言っておられました。
「推手とは言ってますが、押し合い、崩し合いです。それぞれ日頃練習している武術を試してもらう場にしていただけたら。」ということでありました。
太極拳の人より、他の武術経験者のほうが多そうな感じでした。主催団体の練習生らしき選手も何人か。軽量級のお二人はどうも、団体所属の人のようでした。
大会の後で、勝てるコツというか、ポイントのレクチャーがありました。
ねじらずひねらずずらさず、素直にまっすぐ、力を使わず、なにも考えず、体重移動で、前に出るだけ。
これだけで8割方勝てるという話でした。
これはわりと、太極拳の要諦通りですね。
ただ、これを、よーい開始!の合図と同時に、するのです。初手で受けに回ってしまうと、まず勝てない、ということでしたが、私は毎回、よーい始め!で受けに回ってしまっておりました。
搭手から始まるのですが、合図と同時に、肩とか胸とか上腕を押されるのです。もしくは前腕部を掴まれて引っ張られます。
これには戸惑いました。
それに制約が多くて、まるでいつも通りには動けません。
足の位置が固定されて、動かせません。枠内でちょっとズラすくらいはいいというルールですが、板の間に裸足で滑りません。といって、足を浮かせたら負けです。
それに間合いが中途半端なのです。引っ張られたら相手の股下に足を差し込んで、密着して肘とか靠とかするパターンが得意なんですけど、それは不可です。
瞬間で跳んでスイッチしたり、震脚で立て直したりも不可です。
推すときは、後ろ足を寄せるクセがあるのですが、それもアウトです。
このへんの対策を何も考えていなかったです。
しかしまあ、他の選手も同じで、つい肘を出してしまったり、足に触れてしまったり、いつもの癖がでて、ポイント取られているなーという人もおられました。
最初の構え、搭手を合わせるところで、有利なポジションを狙ってしまって、構えを直される人とか、これはもう武術家の性(さが)みたいなものではないでしょうかねー。
常連ぽい人は、デーンと、正面で構えられて、この競技に特化した構えでしょうね。
その中で、なんとか勝ちを取りに行こうとするものですから、足を残して、のめり込むように押し込んだり、体重を目一杯引き込んで、ひっぱったりして、同体で倒れるというシーンをよく見ました。
太極拳にはありえぬ戦法になってしまいます。
私は、大会は勉強のために参加したので、太極拳の要諦は崩さんぞ、と決めておりまして、強引なことはすまいと思っておりましたが、制約の中では、日頃練習していることが、まるでできませんでした。
最後の方でようやく、得意の大捋に持ち込めて、拍手もらいましたが、1ポイントも取れなかったのは、ざんねん!
でもまあ、とても良い勉強をさせていただきました。
なお、総合優勝と準優勝のお二人は、梅田の公園で手合わせしているメンバーでした。おおー!すごい!
公園推手では、いい勝負できているんですけどねー。お互い自流派の技を駆使して遊べています。
この制約の中、優勝してしまうなんてすごい!
肩を痛めたりされてましたが、ガッツですね。
そういえば、私の対戦した人の中には、ガッツむき出しのガッツガツの選手がおられて、体中テーピングだらけでした。
私はガッツも気負いもなかったので、怪我なしです。
養生も太極拳の目的なので、これでよいと思っております。
たいへん勉強になりましたが、太極拳での高みを求めている私の目指すところではないなーと思いました。
大会によっては、後ろの足はフリーに動かしてもいい、というところもあるそうで、そうなるとまた別の競技になってしまうと、これも代表の方に教えてもらいました。
ということは、競技ごとに、対策と練習が必要になるということになります。
太極拳は、競技でもなく格闘技でもなく、養生と護身の技ですから、ガチガチの制約の中でポイントを取るだけの練習をしていたら、本来の目的から外れるような気がします。
太極拳の推手は、条件なしの武術である太極拳の補佐練習です。私の目指しているのは、そっちの方ですので、やはり日頃は、伝統的な推手の練習をしていたいですね。
競技にはあまりふさわしくないなあと思いましたが、まあ、面白かったので、次回も機会があれば、参加してみようかな、とは思いました。
むき出しの闘魂相手に、クールな太極拳で、どれだけ守れるか? という実践の場にしていこうと思います。
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