会社の値段 M&Aの話

社長業をやっている私の友人に、よその会社の買収話が降って湧いてきたそうで、相談を受けました。

いわゆるM&Aというものですね。

いい条件が提示されているんだけど、のっていいものかなあ? という相談です。

こういうのって、お客様にはもちろん、社員にさえ隠密のうちに進められていくものなので、詳細はまったく書けないんですけど、会社を引き継ぐときの会社の値段について、私の思うところ、メモ書きしておきます。

(写真と本文は、あまり関係ありません。)

会社を引き継ぐときの会社の値段

なぜ、私に相談があったのかというと、友人は、私にM&Aの経験があることを知っているからです。

私の場合、話が途中で流れたので、失敗例ではありますが。

ひとつは、老人福祉関係の事業所の話でした。調査(デューディリジェンスといいます。)しているうちに、反社会的勢力との関わりが発覚して、手を引きました。

もうひとつは、メンテナンス関係の会社でしたが、創業経営者の意向とこちらの思惑がかけ離れており、物別れとなりました。

どちらも、従業員数、数十人くらいの規模でして、車両や備品はあるものの事務所は借家、売却の提示価格は数千万円というものでした。

お値段は、借金をチャラにして、創業同族経営陣がつつましやかな余生を送れたらいいなーという思惑の見える金額でして、なにかの公式に照らし合わせたようなものでは、なかったです。

ちなみに、友人の社長の話も、おなじくらいの規模、金額の教育関連会社です。

 

いちおう、会社の値段のつけ方というのはあるようですね。純資産法とか収益還元法とかいわれるものです。

収益還元法というのは、年間の儲けの何年分、というような、不動産の利回りみたいな感覚ですけど、赤字会社なら、値段のつけようがありませんね。

不動産であれば固定資産税評価額を参考にして値付けできましょうが、事業自体には、そんな評価額みたいなものがないですね。同業他社の株価を参考にしたりするらしいですけど。

株価✕発行株式数という計算の仕方も、上場してなければ資本金の額でいいのか、という話になりますし、上場していたとしても、株価なんてのはいい加減なものです。デイトレーダーの気分で上がったり下がったりします。

 

以前、M&Aではないですが、市が運営していた介護事業が赤字でにっちもさっちもいかなくなったことがありまして、跡継ぎ事業者を公募したことがありました。

売却価格(?)は、ゼロ円です。

市の施設や設備は使用できなくなるので、自前で用意してくれ、市の職員以外のヘルパーさん達は、クビにしないで同条件以上で雇用してくれ、利用者もそのまま引き継いでくれ(継続利用を希望されるなら)、という要望で、結局どこも引き受け手がなく、あわれ、解体となりました。

私も説明会には行きましたが、「アホか、なめんな。」という感想です。

企業価値と会社の値段

市の事業には、企業価値がなかったわけであります。

赤字なのに、コストだけ引き受けてくれってことですものねえ。

企業価値ってなんだろうといえば、数字だけの話なら決算書の資産と負債を見て、損益計算書を見て、キャッシュフローを見ればいいですが、そんなに単純なものではありません。それって今現在だけの話ですものね。

若手の、ごっついやり手が育ってきているとか、女子高生の間で有名ブランドになっているとか、すんごい特許を持っているとか、来年物凄いヒット商品を出すとか、見えない資産があるかもしれません。

プライスレスの価値があると認められれば、資本金の何百倍という金額でバイアウト、創業者大金持ち!というケースもありますね。

でも、会社の売却って、ふつうは経営に行き詰まって、伸びる希望がないから売りに出すもので、買収を持ちかけられたら、隠れた負債がないか、よーく調査しないといけません。

会社が保証人になっている借金がある、とかの金銭面だけじゃなくて、辞めた従業員から未払い残業代を訴えられるとか、セクハラ訴訟を抱えているとか、粗悪品が社会問題になるとか、優秀な社員たちがごっそり辞めて同業の新会社を作るとか、そんなのです。あとからわかっても、中古マンションみたいに瑕疵責任は問えないでしょう。

そのうえで、自分が経営したら会社が蘇って利益をバンバン出す!という見込みがあるとか、自分の事業とうまくドッキングさせられるとか、勝算があってこその吸収合併です。

そんな調査は、やっぱり専門家じゃないと難しいです。デューディリジェンスの専門家はおられます。いい人に頼みましょう。

 

件の社長は、M&Aの条件に利益の保証と買い戻しの保証がついてる、こんなうまい話があっていいのだろうか??と怪しんでいたわけですが、たしかに話がうますぎるような気がしたもんで、以上のようなリスクをアドバイスしておいたのでした。

ドツボにはまらないよう、祈っております。

うまく儲かったら、焼き鳥でもおごってもらおうと思います。

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