万能感に注意 30年前の部長の助言

近頃の私は、少しは太極拳のことがわかってきて、それまで上手に見えていた先輩諸氏が下手くそに見えてきたり、語るウンチクが馬鹿みたいに思えてきたりするようになってきました。

太極拳のことばかりじゃなくて、コロナ騒動とか、生活習慣とか、政治とか教育とか、なんでもかんでも、そんな風に思ってしまうという兆候が出てきておりまして、これは我ながら、良くない傾向だなあと思っております。母にも注意されます。

昔、新入社員としてマツダディーラーに勤めだした頃、今はもう亡くなられた、当時部長に言われたことを思い出しました。

「40歳くらいになったら、自分は何でもできる、周りがみんな馬鹿に見えてくる、怖いものがなくなると思うけど、そうなった時に、足をすくわれるんやで!注意するんやで!」

当時の私はまだ20歳そこそこでしたが、50歳を超えた今、思い出しました。

40歳ごろは零細企業の社長として、ヘコヘコしていて、ヘナチョコで、全然万能感はなかったです。

色々経験してきても、いまだ万能感はないですが、世の中わかったような感じになってきていました。

でも、これは危険ですね。

自分がわかっていることなんて、広い世界、長い歴史の中の、ほんの僅かのこと、0.000000000…001%くらいのものでしょう。

私の知っている人に良い見本になる人がいます。反面教師です。

色々苦労されてきて、経験豊富、一時は業界のえらいさん、崇められる立場になり、引退してからも色々手掛けておられ、陽気で親分肌なので、多くの人に親しまれています。私も決して嫌いではありません。

が、悪いところだなあと思うのが、この万能感なのです。

年老いてきて、能力は衰えておられ、これまでのように何でもできるということはなく、失敗も多いのですが、万能感は健在で、人をあげつらっては、けなします。

うまくいかないのは人のせい。

自分を追い越えそうな人には、なんだかんだ屁理屈つけて貶めます。

自分の知らないこと、わからないことは、尊重することはなくて、そんなことをしている奴は馬鹿、みたいな感覚です。

自分の価値観と合わない人には、合わせられません。

あまり深い付き合いでもない人たちは、害もないので相変わらず親しくされておられますが、少し関わりが深くなった人達は、静かに離れていくようになります。

本人は、不義理なやっちゃ、くらいに思っておられるようですが、大人の皆さんは、波風立たないよう避難しているのですね。

傍目に見ていると、そういう構図が見えるのですが、自分自身が当事者なら、たぶん気づかないと思います。忠告されても認めないでしょう。

こういうのを老害というのかな?

そんなふうにはなるまいと、心したいと思います。

母の助言は、ふーん、と聞き流して、あんまり耳から脳みそに入ってきませんでしたが、You Tubeでやっていた中田敦彦と糸井重里の対談を聞いて、ふと30年前の部長の助言を思い出してしまいました。

部長からは、差し向かいでクドクド説教されたのではなくて、なにかの雑談でポロッと言われたような気がします。だいたい、右も左もわかっていない新入社員に説くような話でもないでしょう。

今まで思い出すこともなかったですが、覚えていたのは不思議なことです。

いつもニコニコしていて酒が強くて豪快だった森川部長に感謝したいと思います。あ、母にも。

 

 

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