上達には素直さが大事という話

推手道場にこられているM氏は、入ってこられたころは、教室を持っている指導者のわりにダメダメやなあーと思っておりましたけど、このごろずいぶん上達してこられました。

勁が整ってきて、かんたんには崩れなくなってきました。

歩法や套路は、まだまだやなーと思うし、武術的なイメージもまだ掴めていないように思えますが、練習相手として手ごたえが出てきました。私も練習の成果を、いろいろと試せますので有難いです。

上達の秘訣は、やはり素直な心持ちだと思います。Mさんは、変なプライドとかなくて、わりと素直で、すぐ受け入れる心を持っているのです。

「おかしいなー、なんで?」という反応は示しても、「でも、しかし」はありません。それがよい。

体の方は、まあ年齢もあるし、子供のように素直ということもないです。これはしょうないですね。スポンジが水を吸うようにとまではいきませんが、それでも、ブロック塀に水がじんわり浸み込む程度には吸収されていっているのではないでしょうか。

今回は、勁をドーンと真正面からぶつけてくるのを、ちょっと変えてみましょうねーと伝えてみました。接触点の皮を、ぐにょッと数ミリ伸ばす程度に、ちょっとずらして粘らせて、擦り上げたり擦り落とす気持ちで勁を出すといいですよ、と伝えたのです。

すると、テキメンに変わった!

私が何度も崩されました。おおーっ!進化した!

相手が進化してくれると、私の方も、化勁をシビアにするとか、要求が高度になります。かくして私も、また一歩達人に近づくというわけでして、ありがたいことです。

同じ道場生の、これ、本人が読む可能性が高いのであまりキツくは書けませんが、とある人は、対照的で、さっぱり上達しません。

これも原因は心持です。

「でも、だって」が多いのです。いちいち反論したり意見を挟んだり、下手な考え休むに似たりってかんじです。月間秘伝にこう書いてあったとか、10年早い。あ、10年後に現役でいられるか、不安な気持ちがあるのかもしれませんけど…。

左脳で愚にもつかぬ細かいことを考えながら、テラテラ手を回していても、さっぱり埒アカン。そもそもちゃんと立ててない、というわけで、立ち方の練習方法をお伝えしました。

普通の站樁功だと、やってるつもりになるだけで、たぶんできないだろうなーと思いまして、教えながら思いついたスペシャルな站樁功です。

馬歩のまま、片足を上げて、独立歩になります。手は抱球です。抱球がしっくりこなければ、手首を合わせて、十字手でも良いです。

虚霊聴勁ができていれば、上げている方の膝と肘を合わせると良いです。その方が円襠が崩れません。無理にひっつけようとして前かがみになるようなら、肘と膝はつけなくてよいです。

足を上げているのが辛ければ、上げている足の裏を、軸足の膝に当てて休ませておいても良いです。もしくは、足先を地面につけて虚歩になっても良いですが、体重が虚の足に載らないようにします。

その状態で、息を8回数えます。8回数えたら、上げる足を入れ替えます。これを8回繰り返します。

なぜ8回かというと、太極拳っぽいからです。イーアーサンスーウーリューチーパーと数えるのにもおさまりがよいし。

ほんの10分程度のエクササイズだと思いますが、毎日やってくださいねー、一週間やれば一週間分、一年やれば一年分、確実に上達します。推手も上手になりますよ、と宿題にしました。

「やってみます!」という良いお返事をいただきましたが、実は内心、やらへんやろなーと思っています。

単純で面白くない練習です。退屈して、真の意義を見出す前に、疑問や言い訳の気持ちが湧いてきて、やらないことに正当性を見つけて、3日くらいでやめてしまうと思います。いや、3日もつか? 呼吸4回目くらいでやめるんじゃないか?

次に会ったとき「続けてみましたか? 何か感じましたか?」と質問しようと思いますが、「だってねー」という返事が、聞こえてくるようです。

あらら、キツいことは書かないつもりが、けっこう書いてしまった。

でも、そんな風に思われていることに気づいて、心持ちを改めて、素直にまっすぐ、上達への道を進んでもらいたいなあーと思っているのです。同じ道場の練習仲間ですから。

というわけで、上達には素直さが大事、というお話でした!

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