「ピアノの森」感想・レビュー

娘がツタヤで一色まことの漫画「ピアノの森」を借りてきたので、一気に全巻読破しました。

最近、ピアノにハマっておりますもので。

一色まことの絵柄、なんだか泣かせよう泣かせようという傾向の強いストーリー展開、実はあんまり好きではなかったのですが、初めて、ピアノの森を読み通したら、面白かったです。まんまと泣かされました。

マンガなので、ピアノの音は聞こえてきません。YouTubeで出てくる曲を聴きながら読んでましたら、娘もおんなじことをしておりました。発想が同じだ。親子やなあ。

メインテーマは師弟愛ですね。

「森の端」と呼ばれる底辺環境で、娼婦の子としてと生まれ、捨てられていたピアノがお友達だった一ノ瀬海が、ライバルや師匠などの人の縁を得て成長し、表舞台で活躍していくようになるというストーリーです。

前半、中学一年生が読むにはちょっとドギツイなあと思いましたけど、まあ、そんな世界もあるってことを知っとくのも悪くないでしょう。娘は私立のエリート中学校に通っていて、お友達は皆、お坊ちゃんお嬢ちゃんなんです。

私が小学生の頃は、けっこうこういう環境の友人はおりましたねえ。だいたい道を踏み外す方向に進んでいって音沙汰不明ですが。

一ノ瀬海の人生を変えることになるのが、小学校のしがない音楽教師の阿字野先生です。かつて一世風靡していた天才ピアニストだったのですが、事故でピアノが弾けなくなって、世間に忘れ去られて20余年。

一ノ瀬の才能を見抜き、ピアノを教えてあげようとします。一ノ瀬はタダで施しを受けるのに抵抗があったので、ショパンコンクールに出場するのが条件、それまでの期限付き契約ということにします。

師弟の関係は、親子のような関係に変わっていき、なんだかんだあって一ノ瀬海はコンクールで優勝。これにて契約はお終い。あとは先生の手を離れ世界に羽ばたいていきなさい、となるのですが、どんでん返しがええのです。

先生の復帰のために、一ノ瀬海はこっそり動いていたのです。事故で負傷して上手く動かなくなっていた先生の手を最新医療で治療できる医者を見つけていたのですね。

手術を受けた先生のリハビリを支えるのが、一ノ瀬海とピアノライバルたちです。先生と生徒の立場が逆転みたいになって、ラストは一緒にリサイタル。

師弟関係って一方的なイメージがありますが、こういうのって良いですねえ。

フラメンコギターの先生の耳が悪くなって、チューニングが合わなくなった時、私はサポートすることができませんでした。

コロナ騒動を機に先生は引退してしまい、それっきり。超高級ギターを譲り受けましたが、あまり活かせておらず、私はなぜか三線やらピアノを弾いていたりで心苦しい限りです。

そういう経験があるので、よけいにピアノの森で描かれている師弟愛に心が揺さぶられたのかもしれないです。

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