以前フェイスブックに、イベントで表演している私の動画を載せたのです。
それを見た人から、すごーいと褒めてもらったのはいいのですが、怒らせたら怖いやろうねえ~とも言われました。
いやあ、怒りませんよー、と冗談半分答えときました。
家では毎晩、「いつまでユーチューブ見てるねん!早よ風呂入って寝り!」と娘に怒ってますけど、それは別として、感情的に怒ることって、あまりないです。
人付き合いの中で、静かな怒りが沸々と湧くことはありますが、そんなときも争いは避けて、静かに離れる方針です。
波風立てず、いつのまにやら、さようなら~ってかんじを理想としております。
(そういえば最近、安田先生の教室にあまり参加できてませんが、これは離れようとしているのではなくて、コロナが明けて私も忙しくなり、スケジュールがなかなか合わなくなったのです。個人指導は、かわらず受けさせていただいております。)
それはさておき、「武術をやっとる者は怒らせると怖い」という世間一般的な認識について、ちょっと考察してみます。
私に言った人は「怒ると攻撃的になって容赦なくなる精神不安定な人」と言いたかったのではなくて、「怒ると武術の本領を発揮して強くなる」という意味合いで言ったのであろうと思います。
おそらく「正義の怒りに火がつくと、ムキムキと筋肉が肥大し、服がバリバリと破れて、北斗百裂拳が炸裂する!」というイメージを持っておられるのでしょう。
しかし、怒りパワーで強さ2割増しみたいな現象は、太極拳の場合は起こりえないだろうなあと考えます。
なぜかといえば、太極拳の発勁は、単純に筋力を大きくとか、スピードを速くすれば強くなるってものではないからです。
太極拳は、勁が発生するような骨組みの構造、つまり正しい架式をとり、相手の動きに合わせることで、武術的な効果を発揮します。
形が大事です。そして、正しい形、架式は、繊細なものです。感情が入ると、架式が雑になって、崩れてしまいます。
怒ると力みが出るだろうし、恐怖を感じると萎えてしまって、正しい架式でなくなります。
先走ったり、後れを取ったりして、相手に合わせられなくなります。空回りします。
緊張しない状態、怒ったり泣いたりしない、フラットでニュートラル、リラックスした状態でこそ、勁が生まれ、相手に合わせることができると思うのです。
怒りのパワーが強さに影響するようなのは、技術としてはレベルが低いってことになります。
恫喝とか脅しとかの場面なら、心理的な影響を与えることはできると思いますけど、実際に格闘が始まったら、感情はマイナスにしか作用しないんじゃないかなあ。
平常心が大事ってことですね。
これは、おおむね武道、武術全般に言われることでもあります。
ということで、「怒ったら怖くなくなる」「静かに笑っている方が怖い」という方が現実に合っているような気がいたします。
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