話し方教室のすすめ

学習・資格・教養

話し方教室という看板を見て、「話し方を習わないとしゃべれない人がいるのかあー。」と思っていたのは、高校生くらいまでの話であります。聾唖学校とか、支援学校とかそういう系統だと思っておりました。

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話し方教室が商取引だとか、スピーチだとか、議論だとか、そういう技術を学ぶところだったと知ったのは、大人になってからです。

でも、自分にはあまり関係なかろうと思ってまして、というのも自動車販売会社の営業として勤務していた時は、喋りは、桂枝雀のCDでも聞いて勉強せよ、と先輩に教えられまして、「どうもスビバセン。あは、あは、おほ。」とか言っていたのであります。(枝雀は今でも一番好きな落語家です。)

そんな私が話し方教室の門を叩いたのは、介護の会社を作ってからでありまして、なにしろ従業員の大半を占める気の強いオバちゃん達に、言い負かされてばっかりだったもんですから、話し方を学んで、なんとか対抗してやろうというのが動機です。

目次

話し方教室の効果

で、話し方教室に通って、おばちゃんを打ち負かすことができたのかといえば、あまり効果はなくて、ヘタにテクニックを使って策を弄しようとすると、火に油といいますか、焼け石に水といいますか、全然ダメでした。

やっぱりテクニックよりガッツです。ガッツより日頃の行いです。

言行一致というか、いうこととやっていることが一貫してないと、何を言ったところで薄っぺらいのであります。オバちゃんに下手な小細工は通用しません。

話し方のトレーニングをするより、ちゃんと社長の仕事をせえ、というところですね。

 

話し方で一番役に立つコミュニケーションのテクニックは「ちゃんと聴く。」というところでありまして、相手が言い終わらないうちに反論しようなんてのは愚の骨頂、オバちゃん同士の仲介に入るときでも、双方の主張を余すところなく公平に聞いて、もう出し尽くした、何も残ってないというところまで至ってはじめて、「じゃあ、こうしましょう。」という話になるのです。

これは外部からのクレーム対応にも役に立ちました。チャッチャッと手短にすまそうなんて思ったらダメで、クレームには1時間でも一晩でも付き合う覚悟は必要です。

話し方教室でスピーチの練習

本来の話し方教室と言うか、一番需要のあるレッスンが、スピーチでしょう。

私は特に公衆の面前でスピーチをする機会があったわけではないのですが、教室主催のスピーチ大会のためのレッスンを受けました。

滑舌とか、イントネーションとか、声の出し方や目線の配り方ということも学びますが、私が特に勉強になったなあと思うのは、お話の構成ですね。

スピーチ発表会では、一つのスピーチがおよそ7分。自由課題とテーマを決められたものとの、ふたつお話をするというものでありました。

思いつくまま原稿も無しでスラスラ人を感動させられるような人は、教室には来ないのであって、練習生は、まずは原稿をつくるところからです。

原稿は、別に紙に書いたものじゃなくてもよく、録音したものをベースに、何度も何度も手直し(口直し?)していくという方法もあります。

書くより口で覚えるほうが、しっかりと覚えられますが、まとめやすいのは書く方です。両方やりましたが、私は紙に書くほうがやりやすいかなあ。

紙に書いていくと、思いつきでダラダラ書いたような話は、「ここはいらんねえ。」とバッサリ、削られます。まるまる1ページ分削られたりしました。

「ここが面白いところなのにい。」と力を入れた部分であっても、喋りたい人と、聞く人では、感じ方が違うということも学べました。

これは話すことでも書くことでも、人に伝えるというのが目的の場合、心しなくてはなりませんね。

話し方教室であがり症は克服できるか

教室では、あがり症を治すというようなカリキュラムはありませんでした。これは話し方というより心療内科の分野でありましょう。

人前で話すのが自信がないとか、声がうわずってしまうとか、膝ががたがた震える、という程度のものは、別に対面恐怖症とかじゃなくって、慣れないことに対する不安が現れているだけのことです。

これはもう、何度でも経験を重ねて慣れるしかないです。これも段階を踏むと良いですね。

スキーの初心者がいきなり山の頂上に立てば、それはそれは恐ろしいですが、緩やかなゲレンデで軽く転ぶ経験を重ねていけば、だんだん上手になるのと同じです。

スピーチも、同じ教室の生徒相手なら、リスナーも知っている顔であることだし、お互いにヘボいというのはわかってますから、緊張も少ないです。

朗読も楽しいものです

私の通っている教室では、お話の朗読会もありまして、スピーチより、朗読のほうが得意だという人もあると思います。

朗読ってのは、ニュースのアナウンサーみたいな棒読みじゃなくって、感情豊かに読むものです。(大阪弁じゃなくて、標準語で。)

子供が寝る前の、絵本読み聞かせの練習にもなります。自分の子供が相手だと、どうしても大阪イントネーションになってしまいますが、絵本を読んであげるのはわりと好きです。

上手な人が朗読すると、Wi-Fiルーターの使用説明書といった味気ない読み物(?)でも、感動的になります。生命保険の重要事項説明書なんて、涙がでるんじゃないでしょうか。

 

教室では、宮沢賢治などの童話を選ぶ人が多いですけど、私は自分でお話を作らせてもらいました。

学生時代に、間違えて京都貴船の高級料亭に入ったら、お金が足りなかったもんで、出世払いにしてもらったという感動のお話なんですけど、あまりにできが良くて、中学校の道徳の授業の教材にしてくれました。

>>創作童話?「貴船の昼弁当」

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