掩手肱拳

陳式太極拳の高難度動作の一つ「掩手肱拳」について、ハッと気づくところがありました。

掩手肱拳とは、パッと見、空手の正拳突きみたいな動作ですが、全然別物だということは太極拳を学習されている方ならご存じの通り。

私も、何回も何回も何回もイメージの塗り替え、脳内情報の書き換えがありました。作りかけのテキストも何度も作り変えている部分です。

掩手肱拳は、とっても難しい動作です。あれを難しくないという人は、よほどの達人か、知ったかぶりの初心者だと思います。私もいまだに、スパン!と満足に打てるのは、10回中3回くらい。成功率3割というところです。

さて、何を気づいたのかというと、掩手肱拳には2種類あるんじゃないかということです。

「合」で打つのと「開」で打つのがある! と思ったのです。

「合」はあまり一般的ではないと思うのですが、左掌と右拳を体の前で合わせるような打ち方です。「双峰貫耳」とか「腰攔肘」みたいな感じですね。(24式の双峰貫耳は頭の高さでゆっくりやりますが、それを胸の前で瞬間的に発力して打つ感じ)

こっちも難しいですが、とりあえずそれは置いときます。

「開」の方が、よく見かける、右拳を斜め前方に大きく打ち抜くようなやりかたです。表演なんかで一般的に見られるのはこちらです。

これが空手の正拳突きやボクシングのストレートみたいな感じで打つ人をよく見ますが、それだと腕力や遠心力で打つ感じになります。これを太極拳の勁で打つのが難しい。

これまでさんざん、イメージの書き換え、脳内情報の書き換えをしてきて、ずいぶんマシになってきた私でありますが、「合勁」に対する「開勁」で打てばいいのだ! と、ふと気づいたのであります。

開ということは、つまり、懶扎衣とか単鞭と同じです。

その広がる方向、拳と肘を打ち出す方向が、左右の足を結ぶ線と、十字に交差する線の方向です。「拗」の向きですね。

そういえば「掩手肱拳」には「拗歩捶」という別名があるとかないとか聞いたことがあるようなないような。

その方向に、瞬間的に発勁して打つと、おおっ、なんか前よりいい感じになった!ような気がする!

これでまた一歩、達人に近づいた! のか、もしかしたら遠ざかったのかもしれませんけど、とりあえず自分の修行メモです。

読んでさっぱりわけわからんという人には、どうもすみません。

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