武器を使った太極拳の練習

あけましておめでとうございます。元旦から稽古をはじめました。今年は棒を振り回す訓練を毎日の練習メニューに加えました。暮に短棍を習う機会があったものですから。

これまで、武器には、全然興味がなかったのです。

小中学生の頃は剣道をしておりましたが、いつも剣を持ち歩けるわけでなし、持ち歩いたら銃刀法違反で逮捕されるし、そんなもん習っても、役に立たんじゃないかと考えておりました。

それで素手で戦える少林寺拳法、そして太極拳を学び続けてきましたが、この期に及んで、武器に興味が湧いてまいりました。

といってももちろん、鉄砲とか手榴弾じゃなくて、手で持って振り回すやつです。

太極拳と武器

というのも、もともと武術って、武器ありきなのですね。

考えてみたらそりゃそうだ。敵をやっつけるなり、身を守るなりするのに、丸腰で挑むわけがありません。

近代兵器が登場する以前の戦場なら、刀や剣、槍を使うのはアタリマエ、生活の場でも、棒でも包丁でも、有事の際はそこらへんにあるものを武器にするでしょう。

太極拳の各動作も、武器を使う動きが、そのまま素手で行う套路にも含まれているようです。

私は陳式太極拳を学んでいて、特に、二路に出てくる動きで、どうやって戦うのかわからんような動きがありました。このように使うのだよ、という用法も教えてもらうのですが、なぜ、あえてそんなめんどくさい動き方をする? と思うこともあったのです。

しかしこれが、刀や槍を持っているとイメージすると、実にしっくりくるのです。

以前、套路の一つ一つの動きには、それぞれ突き・蹴り・投げ・関節技の4つの意味があるのだと教わりましたが、実はそれ以前に武器を使っているという意味があったのですね。

武器を使うと套路の意味がよくわかる

うちの近所の公園では、日曜日に大勢の太極拳愛好者が集まって、好き好きに練習しておられます。

その中に、陳式太極拳がわりと上手なオバサンがいるのですが、この方が、通っている教室の先生から「套路が散漫になっている」と指摘を受けられたそうで、散漫って何? と悩んでおられました。

私も中国人の先生より「散」になっていると、指摘を受けたことがあります。その時は、日本人の先生が訳すに「散らかっている、上下相随ができていない」というようなことでした。

上下相随ができていないというのは、手足の動きがそろっていなくて、バラバラ、ぐねぐねしているということです。具体的には、手首・足首・肘・膝・肩・腰の動きが連動できていないということですね。

太極拳の動きは、上記の部分の、いずれかが、上下で垂直になって揃って動く必要がありますが、陳式太極拳を学習している人には、纏絲を意識しすぎてなのか、体中がグネグネになって、上下の動きがいびつにねじれているいる人が、けっこう多いように思います。(私もそうでしたけど)

推手をしたことがない人だと、相手と向かい合っているイメージができなくて、右手・左手・右足・左足がてんでバラバラに動いて、それぞれ一体何をしているのだろう、というふうになりがちです。(私もそうでしたけど)

しかし、これが棒を持っているイメージをすると、ずいぶん姿勢が整います。上下相随とまではいかなくても、少なくとも、右手と左手の動きは整います。連動します。

套路の練習で、棒を持っているイメージでやってみな、と教わったことは以前にありましたが、実際に棒を持つと、更にわかりやすくなりました。

短棍・鞭杆

この度習いましたのは刀や剣じゃなくて、短棍です。鞭杆(べんかん)ともいうそうで、地面から脇の下くらいまでの長さの棒を使います。

私はこの練習のために、武道具店で、杖道の杖を4000円(消費税別)で買いましたが、陳家溝では、そのくらいの棒はどの家庭にも置いてあって、掃除をしたり、物を引っ掛けたり、トイレのつまりを突っついたりして、日常の生活道具として使われているそうです。

これだと、剣や槍より、現代社会でも実用的ですね。(トイレの棒は振り回したらウンチの汁が飛び散ってきそうで嫌ですけど)

はじめての練習で、いきなり鞭杆の套路を一通り習いました。そんないっぺんに覚えられるはずもなく、基本的な振り方や、部分部分の動きを覚えるので精一杯でした。

しかし、その中でも、普段馴染んでいる套路の動きが、そのまま棍を扱う動きになっているところがあったりして、なるほど! と、理解が深まったといいますか、視野が広がったといいますか、とっても刺激的でした。

一例を上げますと、掩手肱拳の動きが、棍の套路でもそのままでてきます。

掩手肱拳は、腰に構えた右拳を前に突き出すと同時に、左肘を後方に打ち出す動きです。形は、空手や少林寺拳法で言うところの中段逆突きに似ています。発勁動作です。

これは、前にいる相手の腹に右拳の突きを食らわすと同時に、後ろから組み付いてくる敵に、肘打ちを食らわす、もしくは、左手で、敵を引き込むと同時に、右拳を打ち込むといったような解釈でありましたが、棍を持った場合は、同じ動きでも、突きじゃありません。

左手で、棍の端っこを引き寄せながら、右手は棍の中ほどをもって滑らすように突き出すと、もう一方の棍の先端が、弧を描いて上から下に、鋭く振り下ろされるという動作になります。

手は前後に動いているのに、棍は上下に動くという、これはテコの原理というか、車輪の回転の原理というか、この動きは、剣道をしていた経験からは出てこない発想です。太極拳、すごいです。

そんなわけで、棍を使っていると考えると、同じ動作をするにしても、イメージが変わりますね。ふにゃんと、下から上へなで上げるような掩手肱拳を見かけることが、ちょいちょいありますが、棍を使っていると考えると、おかしく見えてきます。

その他の動作でも、曖昧あやふやなところがなくなって、シャキッとした動きになれそうです。

いままでやってたのは、何だったのだと、私は大変ショックを受けまして、もっと早くから教えてくれよう、という気持ちになりました。太極拳を学ぶ人は、推手は当然のこと、武器もぜひ学ぶべきですね。でないと、本質というか、真髄には近づくのに、とても時間がかかると思います。

まあ、まだ習い始めたところなので、確信を持って言えるわけでもないのですが、このブログは、練習記というか、練習メモですので、現時点での私なりの解釈ということで、参考になれば幸いです。

 

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