太極拳「超」入門/陳沛山 レビュー

アマゾンで探しものをしていて不意に表示されたのが、こちら陳沛山先生の「太極拳「超」入門」です。

おや、なんか面白そうと思って、買ってみました。

陳沛山老子といえば、陳氏20世の小架式の先生ですね。伝人なのに日本の工業大学の教授というインテリであり、佐々木蔵之介似の二枚目の先生です。お目にかかったことはありませんが、YouTubeで見たところ優しそうな良い人っぽいです。

陳沛山先生の著書は、以前より「大図解陳氏太極拳」というぶっとい本を持っておりまして、参考資料にさせていただいておりました。これは論文みたいに格調高い書物でありまして、読み物として楽しめるという本ではないです。

このたび買った「太極拳「超」入門」は、ソフトな語り口調で書かれており、読みやすい!

講座という体になっているので、本当は、サササッと読むのではなく、一つ一つ実践しつつ、読み進めていく想定なのでしょうけど、面白いので、つい一気に読んでしまいました。

安田先生の「日本では学べない太極拳の秘訣: 大陸武者修行で得た、本場の練拳と身体文化」に匹敵するくらい面白いです。

読みやすい語り口調ながら、説明の表現には、相当に工夫をされておられると思います。私自身もテキストを作っておりますから、どう表現すれば伝わるのか、毎度、苦心して、しょっちゅう書き直しております。

この本を読んで、あっ、これはわかりやすいなー、感性で伝わるなーという表現が多々ありました。

中国人なのに、日本語でこれだけのことを表せるって、すごいなあーと思ってしまいます。

これを先に読んでおけば、私のテキストも、もっと上手に書けたかも。もう10年も前に発行されていたようですが、なんで今まで気が付かなかったのかな?

帯に「太極拳を学ぶすべての者のために」と書かれてまして、陳氏太極拳でない流派の人も、面白く読めて、勉強になると思います。

ただ、「中国政府の主導のもと作成された制定拳は素晴らしい」というフォローが入ってはおりますが、あんなもんは太極拳とちゃうで…という本音が、行間から漂っておりまして、24式で金メダルを目指している人には、ショックかも。

おおむね知っている内容が多かったですが、人体経路や感情についてなどは、あまり詳しくは学んでいなかったので、はーなるほど!と勉強になりました。「大図解陳氏太極拳」にも書かれていたはずですが、難しくて頭に入ってなかったです。この本で、すっきり頭に入ってきました。

コラムは、陳式太極拳学習者にとって興味深い話です。

30年くらい前(天安門事件のころ)の陳家溝の話は、よく安田先生より聞かせていただいておりますが、陳沛山老子は、幼少期に文化大革命を経験されたそうで、革命前後から現代にいたるまでお話を書かれておられます。

これがなんだか哀愁が漂っていて、時代の流れや、今の中国に対する思いなど、本当のところどのように感じておられるのか、行間を探ってしまうのでありました。

>>太極拳超入門/陳沛山

>>日本では学べない太極拳の秘訣: 大陸武者修行で得た、本場の練拳と身体文化/安田洋介

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