太極拳チャンピオン

たまに、武術系YouTubeを見ます。いつも政治系の番組が好きで聞いているのですけど、たまにはです。

合気道とかシステマとか空手とかプロレスとか、コラボレーションしてるの、面白いですね。

そのいくつかで、太極拳のチャンピオンだったという先生がコラボレーションされていて、興味深く拝見しました。

その先生の話では、中国では、国家がプロの武術家を幼少の頃から養成するそうです。

先生は、長拳から太極拳に転向されたそうですが、それはご自分の希望ではなくて、養成校の指示に従わんとあかんかったということでした。ええー、それは嫌やなあ。

そして、プロ太極拳家は、42式総合太極拳をするそうです。

総合というのは、陳式、楊式その他いろいろな太極拳の、まぜこぜの套路だそうで、套路はできるけど、一つ一つの太極拳は知識として知っているだけ、と告白されてました。

よう知らんって言いつつ、陳式はこんなん、とデモンストレーションされて、陳式と楊式との違いなど説明されてました。

私はそれを見て聞いて、エエエーッ?と思ったのです。

陳式専攻の私の知る陳式太極拳とは、えらい違うし、ご説明されている内容も私の知る陳式太極拳と、えらい違うのです。

なんと、基本功も競技になっているそうですが、どう見ても太極拳の基本功じゃなくて、長拳のです。

これが、本場中国の武術業界公式の見解なんだろうか??

そこらへんの、カンフーおたくが言っているのではなく、なんちゅうても、チャンピオンが言っておられるんですからねー。

相手が打ってきたら、太極拳ではこうやる、みたいなこともされてましたが、なんか無理あるなあ、あれなら合気道の方がリアリティーあるなあ、とか思ったり。

この手の動画を見た人が、太極拳ってこんなのやなと認識して、あちこちで偉そうにウンチク垂れたり、または逆に、あんなん総合で勝たれへんとバカにしたりするのでしょうか?(総合格闘技の方です)

私は、違う、違う、そうじゃなーい!と思うのですけど、これが公式見解に沿ったものなのだとしたら、異を唱えた方がインチキだと思われるのでしょう。

コラボ相手の武道家の方々も、えっ、これが太極拳?と、腑に落ちてないんじゃないでしょうかねー。達人技を食らった時によく出る、ビックリニッコリ表情と、なんか違いましたし。

この、最新の動画を見てから、YouTubeで、古い太極拳の動画を探してみました。1950年代とかの。

文化大革命前のこのころは、陳式も楊式もあんまり区別がなかったかもしれませんけど、良いですねー。

これこそ太極拳!という感じがします。ひたすら地味で、表演大会だと観客が寝てしまうかもしれませんけど。

ということで、政府が規定した表演競技のチャンピオンが、ゴリゴリの格闘技術追及系の中に紛れ込んだら、なんか違和感あるなあという話でした。

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