私の作っているテキストが欲しい!と、コメントいただきました。
しかし、まだ世に出せるような代物ではないのです。
振り返って読むたび、「駄作じゃー!」と、陶芸の人間国宝みたいに、投げ捨てたくなります。投げ捨てずに、書き直すのですけれど。
監修も、許可も受けねばならないなー、その前に自分が納得できるものにしないといけないなー、その前に、自分自身が十分に学んで実力者にならないといけないなーと思っておりますので、完成には10年以上の歳月を要することであろうと思っております。
陳鑫先生は「陳氏太極拳図説」を書くのに10年かかったそうですが、浅学な私は、もっともっとかかると思います。
で、そのかわりに、と言ってはなんですが、おすすめ本を紹介したいと思います。
私が読んで、これは参考になった、良い本だなーと思えた本です。
まずは上述の
・「陳氏太極拳図説」/陳鑫
全部、漢文なので内容はよくわかりませんが、イラストが多くイメージ強化に役立ちます。八卦図や太極図なども多く、100 年前の太極拳の世界にトリップしたような気分になれます。
・「日本では学べない太極拳の秘訣 大陸武者修行で得た、本場の練拳と身体文化」 / 安田洋介
安田先生の著書です。本場で長年学んだ日本人、という特殊な立場だからこそ書ける内容です。
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・「大図解陳氏太極拳」 / 陳沛山
歴史や理論的なことも、日本語ですごく丁寧にわかりやすく書かれています。「陳氏太極拳図説」の解説もあります。特に、太極拳の思想や哲学について、高尚なことが、わかり易く丁寧に語られています。
・「太極拳理論の要諦―王宗岳と武禹襄の理論文章を学ぶ」 / 銭 育才
太極拳の理論を日本語でやわらかくわかりやすく書いてあり、読みやすいです。
・「呉式太極拳 馬長勲老師 太極拳を語る 心と体を養う、推手の理解と実践」 / 馬長勲
文化大革命前後の不遇の時代を生きた、前の世代の名人たちが、どのような生活を送っていたのか、馬長勲老師のリアルな思い出話が面白いです。後半は推手の理論。
・「拳児」 / 松田隆智・藤原芳秀(マンガ)
ご存じ少年サンデーで連載されていたマンガ。この漫画に影響を受けて支那武術をはじめた若者が多かったです。私もその一人。ストーリー展開が面白く、やったるで!という気分になれます。ただ、武術の表現としては、今となっては、うーむ…というところも。
・「青春拳法開眼小説 カンフーガール」 / 八神かおり
女子高校生が、ラーメン屋の謎の中国人から武式太極拳を学ぶという、アクション・ラブ・コメディ。武術のうんちく話や、武術業界の話など、やたら細かくて真実味があり、非常に勉強になりました。ストーリーもテンポよく楽しく、一気に読めます。著者の八神かおりさんは、他に著作もなく、謎の人物ですね。きっと何かの都合で、偽名を使った実力派なのだと思います。
・「龍の道」 / 春日敬之 (ウェブサイト「太極武芸館」内の小説)
ウェブ小説です。無料で読めます。神戸のおぼっちゃん高校生が台湾の名人に陳式太極拳を学び、成長していく話。台湾の秘密結社だとか、北朝鮮のスパイだとか、アメリカを支配している勢力だとか、話のスケールがどんどん大きくなっていき、スリリング。軍事的な訓練としても武術が描かれており、心構えが変わります。未完?
浜松の「太極武芸館」という道場のウェブサイトのブログ内にあります。他の記事も面白いです。
套路の説明をしているようなテキストは、名著でプレミアムなものでも、あえて紹介いたしません。私が読んで、なんだかよくわからなかったからです。
上で紹介した陳沛山先生の本は、途中から套路の説明になりますが、やっぱりよくわからなかったです。私の学んでいる老架式じゃないということもありますが、套路はやっぱり、直に指導を受けないと、わからないですね。
You Tubeの動画では川津康弘さんの動画は、なるほどーと思えました。川津さんにお会いしたことはありませんが、私が昔に通っていた教室でも学ばれていたようです。
空手家とか、他の武道の人が語る太極拳の本は、けっこう面白くて、なるほど、こんなふうに捉えるのかーと感心したものもありますが、太極拳の初心者がアプローチする方法ではないと思ったので、紹介しません。
以上、太極拳全般において、概念とか、理論とか、雰囲気みたいなのを、ふわっと感じられるような書籍で、デタラメでないだろうと思えるものを選んでみました。
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