吉川英治「三国志」(前編)感想・レビュー

うちの子がツタヤで「パリピ孔明」を借りてきて、読んでみたらなかなか面白いのです。

諸葛亮孔明が現代の東京に転生してきて、偶然出会った歌手志望の女の子の歌声にほれ込み、軍師としてサポートしていくという奇想天外な物語。

かつて春秋戦国の時代に用いた「なんたらかんたらの計」シリーズを駆使して、英子ちゃんをビッグに成長させていきます。

パリピ孔明は、先日の安田先生の撮影会後のお茶会でも話題になりまして、おお、みなさん注目していたのね、とニンマリ。

しかし、そこから進む三国志の話に、私はついていけなかったのです。

実は私「三国志」を読んだことがないのです。安田先生の本に、読んでおくべき本として紹介されており、私も自分のテキストに書いておきながら、実は読んでおらぬという不埒なことをしておりました。

子供の頃、横山照光の漫画は、ちょこっと読みかけたことはありますが、あんまりおもしろいと思えず、おしまいまでは読んでいないのです。

自分の子供に三国志の登場人物の名前を付けたすごいマニアが友人におりますが、私はそのキャラクターを知りませんので、変わった名前、と思っただけでした。

そいうわけで、ついに、三国志に手を出すことにいたしました。吉川英治の「三国志」全8巻。

ただいま、3巻まで読み進めてまいりました。うう、しんどい。

吉川英治の筆は読みやすく、面白くスイスイと読めますが、似たような名前の登場人物が多くて、頭がこんがらがります。そして、誰がエエモンで誰がワルモンなのか、これもわかりにくい。

曹操ってサイコパスなんかなと思ったら、いい人に思えたり、やっぱり極悪非道だと思ったり。

義憤により立ち上がった人が権力を手にしたとたんに悪人になったり、善良そうな人がえげつない作戦を実行したり、忠誠とか裏切りとかは損得勘定ありきの話で、敵味方の組み合わせは、しょっちゅう入れ替わります。

本当に誠の人は劉備玄徳だけなんですが、その劉備玄徳にしても、戦国の話ですから当たり前ですが、人命尊重人権尊重の人でもないです。張飛なんて、敵味方関係なしに腹の立つ奴を殺してます。

一番人格の高そうなのが関羽ですね。私は関羽ファンでいよう。

名もなき兵隊たちは、タガが外れれば、悪事し放題。敵を攻め滅ぼすとなれば、道徳もへったくれもなく無茶苦茶やります。小競り合いが起これば、たちまち何万人もの死骸が積み上がります。

善悪の感覚が、われわれ現代日本人とは相当に違ってます。

劉備玄徳をもてなすために、貧しい猟師が自分の妻を捌いて調理して捧げる話が美徳のように描かれているのですが、これはさすがに著者による注釈が入ってました。原書にあるのを省かなかった、と。

さて、3巻まで読み進めてきましたが、感動するいい話がでてこないのです。なんか、ゲンナリするような話ばかり。

嘘偽り、騙し、裏切り、皆殺しが、とにかく基本です。正直者がいたら、それは世にも稀なる人徳の人です。

こんなストーリーに幼少のころから親しんでいるから、中国人の文化思想はアレなんかなあと思ったり。

そりゃ、南京大虐殺なんて作り話もスラスラ出てまいりましょう。

支那武術の思想や概念を学ぶには、とても良い教材だと思いますが、子供の情操教育や道徳教育にはふさわしくありません。パリピ孔明はいいけど、三国志は勧められませんね。読んじゃダメー!

ところで、まだ諸葛亮公明は出てきておりません。とりあえず最後まで読んでから、もういちど感想文を書かせていただきます。

>>三国志の感想文の続き

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