テクニックより考え方

私が主催する自分の教室では、基本から順々に太極拳を教えていきますが、公園や道場や他の教室で聞かれた際は、「考え方」を伝えることが増えてきたように思います。

こういう時はどうする? みたいなテクニック的なことは、あんまり言わなくなってきました。

そういうのは場面に応じて変わるものだし、自分自身もどんどん変わっているものです。

細かいことを言っていたらキリがないし、やりかたは二つ三つに限るものではなく、なんぼでもあるし、枝葉末節にこだわって本質を見失わせるような気もして、言うてもしゃあない! 言うのヤメとこ! という気分なのです。

その代わりに、考え方を伝えたいと思うようになっています。

そもそも論というか、木を見て森を見ずというか、遠きを求めて近きを捨てているというか、スタート地点から踏み外してるというか、そんな状態で長年やってきてワヤクチャになっている人が実に多いと、前から思ってましたけど、そこそこちゃんとやってそうな人でも、同じようなもんやなあと、大変上から目線で失礼ですがおこがましくも僭越ながらそんな気がしております。

そんな人に、考え方を伝えて、パラダイムシフトが起きれば面白いなあと思っています。

本質的な考え方を伝えることができるのは、私自身が、本質的に太極拳に取り組んでいる師匠方に、日頃触れて揉まれて考え方の影響を受けてきたからだと思います。

太極拳人口は多いですが、私みたいに、恵まれた学びを受けられている人は少ないでしょう。

おかげで、太極拳の技術的なところはずいぶん上達しました。金メダルもいただきました。

それとは別に、指導者としても成長してきたように自画自賛しているのです。指導員の認定とか資格は持ってないのでモグリですけど。

私のは、正規の指導要領とは、だいぶん違っているんじゃないかと思います。質問に対し、「それはどうでもええです」と流したり、「ポロッとでた今の疑問、それ肝心!」とピックアップして深堀りする指導員は、そんなにおらんだろうと推測します。

しかし客観的に見て、私の言うことが伝わる人は、上達しているように思うのです。物覚えが悪いとか、ドンくさい人が30分でOKということはありませんが、時間がかかっても着実に上達しておられます。

伝わらない人は上達してません。伝わらない人と言うのは素直じゃない人です。上達への熱意より、メンツとかプライドに優先順位を置いている人です。運動神経とか知能指数の問題ではないですね。

私の説明を聞いて「そんなん聞いてるのとちゃう!」みたいな反応が見えたら、あ、そんな人や、と判断して、再現性の低いテクニカルなことをテキトーに言っときます。知的好奇心が満たされご満悦の様子を見て、アホちゃうかと思ったりして、すみません。

うわっつらの情報を並べて、再現できなくてもわかったつもりにさせて、次々とランク付けをして、満足感や虚栄心に対価を払わせるのが、商売上手だと思うのですが、それでは本物が育ちませんね。

私自身は本物でありたいと思うし、まだまだ勉強不足、修業不足ではありますが、素直で情熱ある人に本質を伝えたいと思ってます。

そのためにも己を磨き、達人への道を一歩一歩と進むべく、あと100年精進する所存です。

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