いつもお世話になっている推手道場には、天井からサンドバッグが吊るしてありまして、よく戯れております。
最近、道場主のK先生が、中身を布切れとかスポンジとかの柔らかいのに詰め替えてくれまして、叩きやすくなりました。
以前は、ズシ、ズシ、という感じでしたが、ポフ、ポフ、フワッ、フワッという感触になりました。
重量も半分くらいになり、抱き上げた感じ、20kgくらい? 幼稚園児か小学生低学年の体重くらいです。
これで寸勁の練習をしています。拳や掌を密着させて、フンッと発力すると、サンドバッグが水平近くまで跳ね上がります。
そして、振り子の原理で落ちてくるのを、化勁でフワッと受け止めるという、一度で2種類の練習ができます。
肘で打ったり、肩や背中で当てる感触を養ったり、くるくる回るのに粘りついてみたり、なかなかにサンドバッグは面白いです。
重く固いときより、軽く柔らかくなってからのほうが、面白くなりました。
サンドバッグは、蹴る練習にも使えます。
蹬脚で押し込むのと、拳で打つのは、同じような感じです。
サンドバッグの底を蹴り上げる練習もできます。底が、膝くらいの高さになるように吊ってありますので、擦脚の要領で、スパンと蹴れます。
蹴るというか、勢いよく足で持ち上げている感じなんですけど、垂直方向にサンドバッグが浮きます。
20センチくらい浮いて、落ちてくると、天井につながっている鎖がガチャンと鳴って、鉄骨造の道場がズシンと揺れます。なかなか爽快です。
金剛搗碓の要領で、右足で蹴り上げて、落ちてくるところを、右肘で打つという練習なんかもしています。
生身の人間相手にはできませんので、なかなか良い練習方法じゃないかと思います。
かつては、闇雲の力任せにブッ叩いて、拳頭を擦りむいていた時期もありましたが、このごろは、体の内部に纏絲を感じながら、套路の型どおりに打つように注意しています。
手で打つのも、足で打つのも、全身まんべんなく勁が巡るような感覚ができてきて、どこかが力んでいるという感覚はなくなりました。
その方が、サンドバッグは、生き生きと跳ね回ってくれるようになったと思います。
自分の体も、どこも痛めません。
サンドバッグ遊びは、聴勁の訓練にも、多少はなります。
聴勁は、生身の人間を相手に推手をするほうが効率的ですが、発力して打つのは、安全上できませんので、サンドバッグ遊びも取り入れたほうが、上達するように思います。
ただ、なかなか、サンドバッグを吊るせる環境はないと思います。
サンドバッグが難しければ、小さい鉄砂袋を吊って打ってみるのも良いかと思います。私の持っているのは、こんなやつ。
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私は、鉄砂は入れないで、緑豆と、使用済みBB弾とか詰め込んでおります。
机において、上から掌で打ったり、公園の木の枝からぶら下げて、ポフポフと打ったりします。
パンチ力を高めるとか、拳を鍛えるという目的じゃなくて、勁を整える(通背)ことを意識するのが効率的だと思います。力んで叩くと練習になりません。
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ゲームセンターで、パンチ力を測るゲームがありますが、ヘビー級記録に挑戦しようという意識は上達の妨げになります。
なによりカニより、まずは正しい形を作り、それから柔らかいものを打っていくようにするといいと思います。
私は、順番を間違えて、20年分くらい遠回りしてます。サンドバッグを叩き始めた高校生くらいの頃に、こういう知識があれば、今頃、達人だったろうになー。
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