推手で、飛ばされ方がわからないと、Sさんから相談されたのです。
飛ばされるときの呼吸とか、足運びとか…。
後ろにポーンと飛ばされるときですね。
N先生は、壁でも木でも自分で押して後ろに飛ぶ練習をするようにと、以前は言っておられましたが、それで転倒事故が発生したことがあるそうで、この頃は大っぴらに言われてません。
転倒って、事故か?って気もしますけど、高齢者ばかりの場では、確かに危険です。
今回、尋ねられたのは、推手道場でのこと。
Sさんは、そんなに高齢者でもないし、じゃあ探求してみましょう。
私の場合、日頃、バンバン飛ばされ投げられてきましたので、自然と上手に飛べるようになりましたが、あらためて呼吸とか足運びとか、カリキュラムに入れて教えたことはなかったのです。
いいヒントをいただきました。
道場には、壁にマットが立て掛けてありますので、少々飛んでいっても安心。
私が飛ばす役になり、マットの方を向きます。
Sさんが、マットに背を向けて、十字手になっている私の腕を、両掌で押します。
私は化勁して、体重移動して発勁。(化勁と発勁は、別物として切り替えるのものではないのですが、説明が長くなるので割愛)
Sさんは、マットにポーンと跳んでいきます。
この時、Sさんは、ちゃんと掤勁をキープしていることが大事。
萎んだり流したりせず、私の勁を100%受け取ってもらいます。飛ばされる練習なので。
Sさんが私を押すのは、少々雑な力任せでもいいですが、ちゃんと太極拳の勁で押す方が、練習になります。
でも、どうやって飛ばされたらいいかわからないレベルの人は、そもそも、ちゃんと押せないので、拙力出しまくりでOK。
呼吸は、打たれた時に鼻で息を吸う。
着地の際、もしくはマットに受け止められるタイミングで、息を吐く。鼻から吐きますが、口から洩れても良いです。
壁マットとの距離は、私の方で調整。最初は、近いところで、足がつく前にマットに受け止められる距離です。(近すぎると衝撃が大きいので、適切な距離を考えましょう)
息が合うようになってきたら、マットから離れて、足で着地できるようにしたいところですが、一回目のレッスンではそこまで行きませんでした。
息が合った時、「なんか気持ちいい」という感想が出まして、「それやっ!」と。
10回投げられたら、1回くらい気持ちのいいときがある。
これが10回が10回とも気持ちよく投げられれば、この課題は、ほぼ体得できたといってよいでしょう。
あとは、息を吐くと同時に、両足で震脚できれば、マット無しでも安全に着地できます。
角度がついたり、回転が加わったりすると、ちょっと対応が変わってきますが、まずはこれができるようになれば、ふつうの推手でひっくり返って怪我をするということもありますまい。
(意図的に真下に落とされるとか、受け身の取れない角度に飛げられる場合を除く)