X
    Categories: 太極拳

太極拳の仮想敵は複数?

推手道場の期待の若手新人R氏は、だいぶん足腰も練れてきて力強くなってきましたが、まだまだ拙力に頼っているし、武術的な動きという観念にも欠けてるし、だいぶん伸びしろがあります。

顔面と金的はずいぶん意識してきましたが、腕をグッと掴んで遠くに伸ばしてパンチに警戒し、内股でオシッコ我慢しているようなスタイルになってきて、うーむ、誘導したい方向と違ってきた…。

隙を突こうと、タックルしてきたりするので、そうじゃない!とばかりに、お腹にドスッとパンチを入れて見たり、関節を極めてあげたりしてます。うーむ、ますます違う方向に行っとる…。

どうも私一人を相手に、力いっぱい格闘しているような感じなのです。

それで、思い付きで、「後ろにも敵はいると思ってくださいな」と提案してみました。

後ろに敵がいると考えると、目前の一人に組み付いてジタバタしておれないですね。そんなことしていたら槍でつつかれます。

「相手が一人だけじゃないと思ったら、こうなります」と見本を示してみました。接している時間を瞬間にしてみたのです。

搭手を合わせた瞬間に、崩したり飛ばして、すぐ後ろを向いたりして、他の敵に対応できるようにしてみました。

関節を極めて吊るし上げて盾代わりにして、「こうやって自分を守ることもできます」なんてこともやってみました。これは少林寺拳法で学んだ戦闘法ですが、太極拳でもいけますね。

搭手を合わせると同時に、というか、合わせる前から崩して、片付けてしまわねば。

勁のやり取りの感覚をつかむ練習なら四正推手をダラダラ1時間というのも良いですが、そればっかりだと武術的な感覚は養えないような気がします。たまにはこんな練習も刺激になって、良いでしょう。

修行歴の浅いR氏相手だからできることではあります。異流派推手交流会の面々には、通用せんだろうなあ。

しかし、太極拳の套路って、一対一ではなく、複数の相手を想定しているように思えるのです。前を向いていたら後ろを警戒していたり、右を守ったら左を打ったりとか。

タイマンの決闘なら、その動きはいらないだろうと思える動作が、そこかしこにあります。

太極拳は、リングの上の格闘競技ではなく、戦場で用いる軍事技術だからに他なりませんでしょう。

それを意識するだけでも、太極拳は、ガラッと変わるんではなかろうかと思います。

パパだよ:
Related Post