前に宣言した通り、太極拳の小説を書きだしております。
青少年に再びカンフーブームを巻き起こし、本物の太極拳を伝え広めていくための布石にしようと目論んでおるのです。
小説から漫画化、アニメ化、鬼滅の刃を超える大ヒット、町中の太極拳教室にはちびっ子や若者が集まって、健全な人材育成に役立っている未来を想像しております。
駅のホームで基本功をしながら電車を待っている人がうじゃうじゃ、数人集まれば推手でレクリエーション、みたいな。
映画興行収入から入る私への印税は、人材育成のために有効に生かしていただきます。
まあ、ちょっとくらいは、うちの家計の足しにさせてもらうかもしれませんが。一割くらい…教育費の足しとか…家族旅行代とか…(捕らぬ狸の皮算用)。選挙資金とか、投資失敗の穴埋めとかには使わないようにします。
伝統武術もあまりに一般化すると、派閥争いとか、門派の分裂とか、カルト化とか、エンタメ化とか、問題も発生するものですが、そこまではまだ考えられません。それはその時、考えよう。
小説は、チャットGPTに登場人物とかの設定を入れて、ざざざっとあらすじはできまして、それをもとに書いていっておりますが、書き進めているうちにいろんな方向に展開して、収拾がつかなくなっております。エンディング未定。
とりあえず、書けたところから、このブログにアップしていきます。人の目にさらされていると思えば、また内容も変わってくるかもしれませんしね。
そういえば、「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」というブログ小説は、読者とのやり取りで、話の流れが変わっていくという面白い小説でした。そんな感じの小説もいいかな、と思っています。
ということで、はじまりはじまり。
なお、この物語はすべてフィクションです。登場人物や団体などは、私の妄想ですので、似たような人を思いつかれたとしても、全く関係ありません。
目次
どんくさい太児が太極拳にであって成長する物語
第一話 剣道は苦手でピアノは得意のこと
「面あり! 勝負あり!」
審判の旗が相手方に上がった。
小学五年生の柔太児(やわら たいじ)は、竹刀を置いて、道場の床にへたりこみ、防具の面を外した。汗でぐっしょりと濡れた髪が、目に張りつく。
あちこちから、拍手や笑い声が聞こえる。
道場の隅には、お母さんがいて、心配そうに見ていた。
太児は、足はガクガク、息が上がって、顔は真っ赤だ。恥ずかしさや悔しさやふがいなさやらで、心がいっぱいになって、口がきけなかった。
道場の外に出ると、友達の剛拳二(ごう けんじ)が声を掛けてきた。
「がんばったなー。よく打ち込んでたよ。ナイスファイトだった!」
拳二は太児の幼馴染だ。太児の通う剣道教室の、違う曜日にやっている少林寺拳法教室に通っている。強いだけじゃなく、優しいヤツだ。太児のお母さんに気を使ってくれているのか、やけに褒めてくれる。
「ぜんぜんナイスじゃなかったよ…。一発も当たらなかった。バタバタしただけで、相手のスピードに、全然ついていけなかったよ。いつものことだけど」
太児は、あきらめたように軽く笑った。
「拳ちゃん、いつも応援ありがとうね。うちの子はなんせ、ドンくさいからねえ。拳ちゃんみたいに強くなってくれればいいのだけれど…」
とお母さんが言った。
家に帰って、しょんぼりとおやつを食べた後、太児はピアノに向かった。お母さんのアップライトピアノだ。気分が落ち込んだときは、ピアノを弾くと、少し慰められる。
ショパンの「雨だれ」。
同じ音が淡々と続いて、心がおちつく曲だ。音大卒の母が、教えてくれていたので、ピアノ教室に通ったことはない。
だけど、ピアノが弾けることは、誰にも知られたくなかった。
「男がピアノなんて、からかわれるにきまってる……」
友達と遊ぶより一人で日向ぼっこが好きというほどの運動不足で、やや肥満気味だった太児を心配して、母が勧めたのが、週一回の近所の剣道教室だった。男らしくなれるかな? と思って通うことにした。
お父さんは中学生の頃、剣道をしていたそうだが、仕事が忙しいといって、教えてくれたことはほとんどない。
クラスメートの拳二が、同じ道場の少林寺拳法クラスに通っていたとは、後から知った。
太児が剣道を始めて、2年になるが、試合で勝ったことはない。
気合の声もなかなか大きな声が出せず、いつも先生に怒られている。
「ぼくは、スポーツや武道には向いてないんだ…」
そんなことを思って、手を止めた瞬間、
「太児、いい曲だね!」
背後から声がした。
ぎくっ、として振り返ると、隣の家の幼馴染の美鈴が、窓から顔を突っ込んでいた。クラスメートでもある。
「えっ、な、なに勝手に入ってきてんだよ!」
「太児はピアノ上手だよね〜。運動音痴だけど。学校でも弾けばいいのに」
「運動音痴で悪かったな!」
「もっと、自信を持てばいいのにい~。得意なことを伸ばす方が、人生楽しいわよ」
「うるさいなあ。ほっといてくれよっ!」
太児は赤くなって叫び、ピアノのふたをバタンと閉じた。
「あーあ。応援してあげてるのに~」
そういって、美鈴は自分の家に帰ってしまった。
第2話に続く