さて、連載の途中ですが、前にアップした回を書き直します。
えーっ、そんなんあり??
いいではないですか。個人のブログに連載しているだけですし。
これが新聞連載とか、雑誌に連載だと、困りますよねえ。
私はプロの物書きではないので、ええのです。
「七つの珠」について、変更です。
以前、適当に検索していて出てきたのが、孔子の書いた歴史書「春秋」の注釈書の中の「武有七徳」、禁暴・戢兵・保大・定功・安民・和衆・豊財だったのですが、これがどうも眉唾物みたいなのですねえ。
後世の解釈らしいです。江戸時代あたりの日本での解釈のようで。
それより、七つの徳にふさわしいのは、拳児にも出てきた、仁・義・礼・智・信・厳・勇でしょう。
小学生の拳児が夏休み、田舎に遊びに行ったとき、じいちゃんに教わった五常の徳+二徳です。
拳児が高校生になったときも、担任の体育教師、鉄拳三藤先生がクラスで話してました。その直後、学校がトニー譚の襲撃を受けて、大乱闘となり、そのあげく拳児は停学、それで武術修行の旅に出ることになります。
ここにつながるとは、なかなか感慨深い。
今後の展開は、実はあまり考えておりませんが、中国共産党の終焉に合わせて、お話を進めていければ、歴史的小説になるなあ…なんて思っております。
いろいろと辻褄の合わぬところが出てくるかもしれませんが、お気づきの点がありましたら、教えてください。
なんとか、辻褄合わせていきます。
というわけで、二回目の第二十四話です。
第二十四話 謎の一人と美鈴の疑いのこと
夜明け前、庵天先生のアパートの台所。
春子が台所で味噌汁を温めつつ、調味料の瓶の裏に隠した小型送信機を取り出す。
庵天が小声で言う。
「味噌汁三人前、具は豆腐とワカメ」
送信機から、オペレーターが「湯豆腐は南禅寺…」と返事が返ってくる。
春子がため息をつきながら囁く。
「また食べ物の暗号? おなかすいた人みたいで恥ずかしいわ」
「アナログがいいんだよ」
本物の味噌汁をちゃぶ台に置いて、春子が用心深く言った。
「…現場にもう一人いたわね」
「ああ、でもあいつらの仲間じゃないな。俺たち側の奴じゃないか? 敵意を感じなかったし」
「でも、そんな連絡は入ってないわ」
「うーん。わからんな…。どこかでまた接触するかもしれないな。なんだか知ってる者のような気がする…」
そう言って、庵天先生は味噌汁を一気に飲み込んだ。
飲み終えるのを待って、春子が言った。
「あの子達、ちょっと脅かしすぎたんじゃない? 記憶は消しておいたけど、トラウマになりかねないわよ」
「自分こそ、悪ノリがひどかったぞ。なんだよ、いばら姫って…」
「あなたがタソガレとか言うからじゃない」
「奴が黄河一号なんて言うもんだから、古すぎると思って、令和の時代に合わせてみたんだ」
「バラバラ殺人事件の予告みたいなことも言ってたわよ」
「ビビらせてやろうと思ったんだが、ちょっと冗談が過ぎたかな。実際には麻酔薬で眠らせて、公安に引き取りに来させたんだが…。C国側の連中、死体も消されたと思ってくれればいいけどな。あの爆発はうまくいった」
「倉庫はバラバラ。お隣さんは、窓ガラスくらいは割れたかもしれないけど、そんなに被害はないはずよ」
「太児達、上手く忘れていてくれていたらいいけどなあ」
庵天先生は、足を組みなおして、まっすぐ座り、机の上にゴロッと木の玉を転がした。
「さて、これが例のモノだが…俺が昔、陳家溝で預かって、今は太児が持っている珠によく似ている」
珠には「義」の一文字が黒々と書かれていた。
春子が珠を手に取って言う。
「義和団事件の義? あるいは義務教育? さては、義理チョコ?」
「仁・義・礼・智・信・厳・勇…か?」
「えっ?」
「儒教の七徳だな。陳王廷の時代に、七つの徳目を宿す珠が作られたという話を、俺は陳家溝で聞いたことがある。たまには不思議な力が宿っているそうな」
「それが、この珠?」
「そうだ。義の珠は、正義と忠誠を象徴する。太児の珠は無地だが、触っているうちに文字が消えたのかもしれない。仁とか書かれてたのかもしれないな」
「なら、残りの礼・智・信・厳・勇も存在するのね…」
「陳家溝に伝わる伝承が本当なら、C国がこの七珠を回収しようとする理由もなんとなくわかる」
「どうして?」
「今のC国の政治や思想と相容れない徳が、この珠には込められているからだ。仁は思いやり、智は真理を、信は信頼と真実を重んじる。C国の政治は、そのあたりデタラメだからな。得体のしれないパワーで、そうした思想が人々に広まれば、国家の統制に障ると考えているのかもしれない」
朝の公園で、美鈴が詰問していた。
「あんたたち、昨日の夜どこへ行ってたのよ!」
眠そうな声で太児が答えた。
「覚えてないよ…」
「オレも…」
「うちも…」
「ワシも…」
なぜかテツも晶に連れられて、太極拳の練習に参加。
「きのうは爆発事故もあるし、あんたたち、巻き込まれたのかと思ったわよ」
「へえ、そんなことがあったんだ…」
「へえ、知らなかったなあ」
「うちもしらん」
「ワシも…」
拳二が尋ねる。
「ていうか、なんでオレたちが夜に出かけたと思うんだよ」
美鈴がプリプリしながら答える。
「太児のピアノが聞こえないし、拳ちゃんも電話も出ないし! 私だけのけ者にして、例の昔の村に行って、お馬さんに乗ってたんじゃないでしょうね!
「例の昔の村って、なんや? 怪しいやんけ」とテツ。
「あっ…渦巻映画村のナイトイベントがあったのよ」とあわてる美鈴。
「そうそう、三国志特集だったかな? 関羽はかっこいいね!」と太児。
「馬の上で春秋大刀(しゅんじゅうだいとう)を振り回すんだよな。そこにシビれる! あこがれるゥ!」と拳二。
「そんなん、興味ないわ。ワシが行くわけあれへん」
「テツに聞いとんのとちゃうわ」
本当にそんなイベントがあるなら行ってみたいなあと思いつつ、太児は昨日のことが思い出せない。
(なにがあったんだろう??)
結局、三人とも、太極拳の宿題で疲れて、テツは飲みすぎて、早く寝ていたということに落ち着いた。
「あんたたち、体力がないのねえ~。やっぱり日頃バスケットボールで鍛えている私が、一番強いってことね」
ドヤ顔で見渡す美鈴だったが、その瞳は、何かを疑っていた。