太極拳は腰が主宰する(腰為主宰)と言われます。(武禹襄/十三総勢説略)
私は、これは「人体は骨盤が主宰する」って意味ではないかと思えるのです。
ただ、中国語の「腰」(yao)は、英語で言うところの「ウエスト」”waist”でありますから、「骨盤が主宰する」だと、意味が合いません。
だから、間違えているかもしれませんけど、私はこのところ、骨盤を意識して練習するようにしています。
それを、生徒さん方にも体感してもらいました。
前進するとき(上歩)、前を向いたところから、股関節を開いて足を斜め方向に出すのではなく、あらかじめ斜めを向いておいて、足は横に出します。
二歩目は、骨盤の向きを反対側に変えて、反対の足を横に出します。するとジグザグに前進できます。
足をつく位置は同じでも、正面を向いて歩くと、敵に真正面を向けて、股をおっぴろげて近寄る感じになります。
斜め向きなら、隙が無い感じ。全然違います。
ところが、この区別がなかなか、私の生徒さん方には難しい。
それならば、馬歩の形をキープしたまま、片足は引きずるようにして、歩いてみよ、と実験してみました。三角馬でカタンコトンと歩く感じですね。
足の筋力は使わず、骨盤の向きを変えるだけ。骨盤が主宰している感じになります。
マイケルジャクソンのスリラーみたい。
プロポーションビデオをぜひ見てください。
骨盤を動かしているのは、お腹のあたりから螺旋状に広がる筋肉です。纏絲です。
この感覚をつかむと、太極拳のすべての動作が、カッチリして、すごく理解できるように思えます。虚実分明が中途半端ではなくなります。
教室では、主に歩く動作で意識してもらいましたが、跳躍して反転とか、一回転とか、楽々できるし、骨盤の方向転換にジャイロ効果が加われば、低くなったり高くなったりも自由自在。
椅子に座った状態からの立ち上がりでも実験してもらいました。
介護の授業では、頭を前に倒して、重心バランスを取り、ヨッコラセと立ち上がるのが、無理のない立ち上がり方だと習います。
頭を倒さないことには、物理的に無理、と習ったような気がしますが、何が無理なもんかい。
上体はその姿勢のまま、骨盤の向きを変えれば、スパッと回転するように立ち上がれます。
横方向の回転は簡単ですが、立ち上がった時に体がちょっと斜め向きになります。
骨盤を縦方向の回転させれば、顔は前向きにしたまま立てます。
前方に転がる方向でも、後ろ向き回転でも、どっちでもいけます。(タテ回転は、骨盤の自由さを相当に要求されるかも)
どっちにしても、足を踏ん張らずとも、瞬間的に体重移動が完了して、頭を振り子みたいにしなくても立てます。
片足でもできますね。
これ、元看護婦さんが上手にできてました。
実験してみると面白いですよ!
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